お題「誰かしら?」
母親がいつも私が、家事を手伝いに来たのに一言。
「誰かしら?」
仕方ないよね。
認知症だから。
お題「あの日の温もり」
今でも忘れない。
それは家族といた時の温もり。
あの心が繋がっている雰囲気。
それにどこか泣きたくなる様な母親のご飯。
あの日の温もりは今でも今でも忘れない。
忘れたくない。
お題「記録」
大嫌いな持久走。
息が荒くなる。
しんどい。
辛い。
それでも一応サボるというのは嫌だから走る。
やっと終わりだ。
「小百合!あと少しだ!頑張れ!」
10周を走ると終われるのだ。
10周を走り終わるとタイマーを止めて、その秒数を記録するのだ。
14分28秒。
まあまあかな。
お題「さぁ冒険だ」
あれ?
ここは何処だろう。
何か綺麗な夜道。
よし、せっかくだから散歩しよっと。
冒険しよっと。
沢山の風景。
綺麗だな。
お題「一輪の花」
私の母親は既に84歳になっていて認知症だった。
母親が認知症だと分かった時から、老人ホームに住ませるようにした。
毎日母親の顔が見たくて、会社帰りに老人ホームに通う。
毎日通っているからか、老人ホームの先生と仲良くなったりもする。
母親は相変わらず私の事が覚えてなくて、私の事を新しい先生だと思っている。
それでも笑顔で話してくれるから嬉しい。
母親は若い頃から愛想が良い人で、今もそれは変わらない。
私も笑顔で返すのだ。
そしてどうせ毎日来ても忘れられるから、新しい先生だという事にして関わる。
今日も老人ホームに通う。
すると今日老人ホームの仲の良い女性の先生から、いつも通り笑顔で迎えてくれる。
けれどいつもとは違う笑顔。
なんだろう...
「どうかしましたか?今日何か良い事ありましたか?」
「あのね?心の準備をして聞いて欲しんですけれど...」
「はい」
「貴方のお母さん...今日貴方の名前を言って泣きながら...」
泣きながら...私がいつも老人ホームに来てくれたから、お礼として私の好きな花を買ってプレゼントをしたいと、そして直接渡したいと言ったらしい。
私はその話しを聞いた途端、涙が溢れる。
「でも...危ないから車椅子をおしながら買いに行ったんですけれど、花を買った後は忘れてしまったんですけどね」
「そうですか」
それでも良い。
たった1秒でも良い。
思い出してくれてありがとう。
「それでも花は何故か分からないけれど、大切に保管しておくと言って今日貴方がいつも通り貴方が来てくれたので、連れてしますね」
「あっ...はい」
私はまだ涙が止まらない。
母親が私の事を思い出してくれた。
好きな花まで思い出してくれた。
母親が女性の先生と一緒に来る。
母親はいつも通り笑顔で私に言う。
「あら?新しい先生かしら?貴方何歳?若そうですね」
「はい。そうです」
母親が涙を流している私に優しく笑顔で撫でてくれる。
「あらら、こんなに泣いちゃって...どうかしたの?」
私は母親のその温もりが安心して、嬉しくて余計に涙が溢れる。
すると母親はそんな私を見て、大丈夫?と聴きながらハンカチを出してくれる。
相変わらず若い頃から女子力が高い。
すると母親が思い出した様に言う。
「あ!そうだ。何故かちょっとこれを貴方にあげたくてね?これ...」
そう言って取り出したのは、カーネーションだった。
そういえば私小学2年生の時に、カーネーション綺麗って言ったっけ?
そんな小さい頃に言ったこと覚えててくれたんだ。
てっきり好きな花って言ったら、薔薇とかだと思ったけれど嬉しいな。
「ありがとう」
「ごめんなさいね?お金が無くて一輪しか買えなかったの」
「ううん。大丈夫。ありがとう。本当にありがとう」
家に帰ったら小さい花瓶を買って飾ろうかな。