【君と最後に会った日】
おはよう って
君をいつも起こしに行ってた
眠そうな君に勢い良く突進して
すり寄って
君の匂いをいっぱい吸い込んだ
毎日がとても幸せだった
それが出来なくなってから どれくらい経ったのだろう
優しく笑いかけてくれる声も
撫でてくれる手も もう無い
明日はいるかな?と思って眠りに就いても
毎朝希望は打ち砕かれて
段々と この家から君の匂いが消えて行く
あの日 皆が集まっていたあの場所
そこに君はいるの?
匂いはしないけど きっとこの下にいるんだよね?
冷たい石に 寄り添ってみる
やはり君の匂いはしないけど
何だかとても眠くて
僕も瞼を閉じた
【繊細な花】
漸く咲いた 可憐な花
大事に育て やっと顔を見せてくれた
可愛い可愛い ボクだけの花
きっと触れたら 壊れてしまうから
穢れないように ガラスケースに仕舞っておこう
外の世界なんて 知らなくて良い
キミの全ては此処
ボクの全ても此処
大切に大切に 愛でてあげるからね
【街】
いつもの喧騒が消され、灰色に包まれた雨混じりの世界。
咲き乱れる傘の花は色とりどりな筈なのに、全てがモノクロに見えるのは何故なんだろう。
あぁ、そうか
此処にはキミがいない
そっちは光輝いているのかい?
待ってて、キミに会いに行くね。
【世界の終わりに君と】
一緒に旅をして来た。
長い長い旅だ。
君がくれる笑顔に、ボクはオーバー過ぎる程、全身で答えて来た。
君はボクの全て。
でももう、笑顔どころか、声もかけてくれない。
頭を撫でてもくれない。
すり寄っても、抱き締めてくれない。
段々と、温もりが消えて行くのを感じる。
今まで、楽しかったよ。
こうして見守れて、ボクは幸せだ。
ホラ、こうしてたら、まだまだずっと一緒に居られるよね?
あぁ、何かボクも眠いや…
一緒に寝ようか。
ボクは一度鳴き
そして愛しいヒトに寄り添い丸くなり
静かに瞼を閉じた
【最悪】
白い世界に取り残された。
何も見えない。
何も聞こえない。
手を伸ばしても、何も掴めない。
そしてふと気が付いた。
伸ばす手が、自分にはない。
あぁ
そもそも存在すら無かった。
何故個人と認識してしまったのだろう。
きっと、君の感情に触れてしまったからだ。
こんな想いを抱かせて。
ズルいズルいズルい。