【秋恋】
外を見回すと緩やかに葉が落ちていく。
落ち葉を見ると何処か悲しげに感じた。
努力して生きていたのに落ちてしまったのか。
ああ、自分の様だ。
努力していても追い込まれ、何も出来ずに独りになり、
感情も全て落ちて行くような気がした。
誰も見てくれずに終わる。
それでも葉は紅葉がある。
素敵な色になってから枯れ落ちる。
ここが葉と自分の大きな違いだ。
自分のことを見てくれる存在はどこにいるのか。
そんな寂しげな日常を覆す存在が現れた。
あの人との会話は何よりもあたたかった。
秋の肌寒い風すら、あたためてしまうような。
僕は紅葉ほど綺麗で美しい存在じゃない。
それでもあの人の目から感じ取れた。
僕を受け入れてくれた。
自分は肌寒い風で震え、凍える。
そんな弱い自分を守って、見てくれて。
せめてでも僕といる時間に笑顔になって欲しい。
僕といる時間で笑顔になってくれた貴方ほど
愛らしいものはないだろう。
自分の汚い感情をかき消すような貴方。
何もなかった心から色が溢れてくる。
貴方にも色を分けたい。
色があっても、なくても。
貴方は唯一無二な存在には変わりないから。
どうか、もう少しお時間をください。
貴方と話したいんだ。
【愛する、それ故に】
あの人とずっと一緒に居たかった。
どうしても好きだった。
自分の愛の重さは重々把握していた。
あの人が自分以外と話し、笑い合う姿。
あの人が自分以外ではない他の人を優先する姿。
あの人が自分以外では無い他の人と関わりを
持とうとする姿。
あの人が自分と居る時より楽しそうにしている姿。
あの人が自分以外の存在と関わる姿。
あの人を見れば見るほど汚らしいドロドロとした感情が溢れ出てしまう。
あの人は何一つ悪くない、色んな人と仲良くしてくれるのはとても嬉しい事だったはずなんだ。
あの人のその優しさが好きなんだ。
それを自分だけの物にしようとしていた。
独占欲とドロドロの感情が混じる。
束縛をしてしまったらあの人の優しさが潰れ、
壊れてしまう。
愛する、それ故に壊してしまう。
壊さぬよう、今日も嫉妬や独占欲、ドロドロを隠す。
相手を壊さぬように、
今日も少しづつ自分が壊れて行く。愛する、それ故に。