御饌

Open App

【秋恋】

外を見回すと緩やかに葉が落ちていく。

落ち葉を見ると何処か悲しげに感じた。

努力して生きていたのに落ちてしまったのか。

ああ、自分の様だ。

努力していても追い込まれ、何も出来ずに独りになり、
感情も全て落ちて行くような気がした。

誰も見てくれずに終わる。

それでも葉は紅葉がある。

素敵な色になってから枯れ落ちる。

ここが葉と自分の大きな違いだ。

自分のことを見てくれる存在はどこにいるのか。

そんな寂しげな日常を覆す存在が現れた。

あの人との会話は何よりもあたたかった。

秋の肌寒い風すら、あたためてしまうような。

僕は紅葉ほど綺麗で美しい存在じゃない。

それでもあの人の目から感じ取れた。

僕を受け入れてくれた。

自分は肌寒い風で震え、凍える。

そんな弱い自分を守って、見てくれて。

せめてでも僕といる時間に笑顔になって欲しい。

僕といる時間で笑顔になってくれた貴方ほど
愛らしいものはないだろう。

自分の汚い感情をかき消すような貴方。

何もなかった心から色が溢れてくる。

貴方にも色を分けたい。

色があっても、なくても。

貴方は唯一無二な存在には変わりないから。

どうか、もう少しお時間をください。

貴方と話したいんだ。

10/9/2025, 5:54:58 PM