くっか

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7/1/2024, 10:33:59 AM

電車が迎えに来た
今日はいつもより
空が明るい

田んぼから住宅街
住宅街からビル
移り変わる景色
紫色の夕焼け
それらをぼんやり眺めていた

電車が地下に潜り
パチッと明かりを消したように
窓越しの景色は暗闇になった
代わりに見えたのは人
セットしたであろう
髪は崩れて、
今日も頑張ったのだろう
顔から疲労が見てとれた

頑張ったね 今日もお疲れ様と
声をかけようとするが、
彼女はいなくなる
代わりに見えたのは
優しく包むような月と
温かみのある街の光

改札を出て 家に帰ろうとする足は
コンビニに向かった
少し高めのプリンを買って
心で呟く
「今日もお疲れ様」

〜窓越しに見えるのは〜

6/30/2024, 1:47:45 PM


自分の手を見る
運命の赤い糸
先に誰がいるのか
そもそも結ばれているのか
分からない
しかし、
指には沢山の糸が巻かれていると
そう感じる

この学校に行ったから
出会えた友達
あの時勇気を出して踏み出したから
出会えた先輩.同僚
あそこであぁしていたから…

縁は沢山結ばれている
刺繍糸や毛糸、今にも切れそうな糸
人生を紡いでいく間に
切れたり、切ったり、
結んだり、結んでもらったり、
解いたり、編んだり

そして、最後に人は
大きな糸玉になるのだろう

出会えたのは偶然
でも、偶然にしては出来すぎている
そんな偶然に「運命」なんて名前をつけて
愛おしく思い
自分は仕合せ者だと
糸の先にいる人々に感謝し
自分の手を握る

〜赤い糸〜

6/30/2024, 5:05:14 AM

平日 昼下がり
都市郊外へ向かう電車
人気は少なく
並ぶ住宅は眼下にある

ふと、スマホから顔を上げる
スクリーンいっぱいに映るは
青色背景に積乱雲
そこは特等席となった
意識が
景色に飲み込まれていく

しばらくして、辺りを見渡す
数少ない乗客は
スマホに夢中だったり、
夢の中だったり
今 この景色を独り占め出来ている
その贅沢さを噛み締めて
もう一度スクリーンに目をやる

「ビルや電柱もない昔の広い空に
こんなに大きな雲が現れて
大雨が降らされたんじゃ
"入道"なんてつけるのも分かるな」

そう考えてから
再びスマホに目を落とす

〜入道雲〜