どこかを見るともなしに視線を泳がせている、不機嫌そうなヤツがいる。
黒ずくめの上下はあからさまな不吉を感じさせる。死神か悪魔か、どちらかを連想する事を隠そうとしないふてぶてしさであるのに、思い通りに事が運んでいないのが手に取るようにわかる。
ちらちらと気にしているのは、やや離れた席にいる青年だ。
彼の傍らには歳近い女性が寄り添っている。
普通の人間には見えない大きな美しい翼がその背にはある。それは青年を守るように広げられ包み込んでいる。
ちらりと黒ずくめの男に視線を投げた彼女は微かな含み笑いをもらす。
黒ずくめの男は苛立ちを隠せずにいる。そして呟く。
「よりにも寄って守護天使付きなのになんでリストに上がるんだよ」
管理者に抗議する事を決めて立ち去る男の背中、黒い翼はまるで貧乏揺すりのように揺れていた。
やや強引
久しぶりの長期休暇中の天使を
引っ張り出してみました
#揺れる羽根
予定は未定
決定では無い
それってただの開き直りじゃない?
感じたままに言っては見た
でもなんとなく思ってたんだ
この約束がすっぽかされそうだって
もう少し誠意のこもった言い訳しようよ
でなきゃ 私の立つ瀬がない
#予感
光は希望をくれるよ
ときどきそんなふうに力をくれるあなた
霧は少し不安になるけど
のんきにして待っていれば晴れるよ
狭いところにいても そう 心細くなるけど
間をねちょっとずつ広げてみるのさ
できるだけあわてないで 焦らないで
うれしいとかこわいとか
行ったり来たりするの 当たり前
当たり前なんだからさ
#光と霧の狭間で
簡単には言えないよ
照れくさいし
何より重たいでしょ
愛してるなんて
恋してるの
これは さらりと話せるかな
対象じゃない友達とかに
世間話的に
まあるく包み込んでいる愛から
恋が飛び出したら
三日月が残るかも
黒猫が座っているかな
女の子がブランコに乗っているかな
ふんわり気分で
のんびり考えよう
#愛-恋=?
随分と昔の話だ
家族と地域のイベントに出かけ
季節の農産品の数々を見て
とても楽しい時間を過ごした事があった
その頃あまり馴染みがなかった洋梨を買い求め
甘く優しい味わいにとても驚いた
柔らかで瑞々しい果肉の梨を食べたのは
初めてだった気がした
不思議と家族でそんなイベントに足を運んだ事は多くなかった気がする
割合と個人主義な家族関係だったようだ
家族とは言っても関わるのが煩わしいと思っていたのかもしれない
年月が流れ、家族の葬儀など幾度か経験した
そうしてようやく気づく
過ぎた時が取り戻せない事
その時々を慈しむ事が尊い事
喜びを分かち合える事の幸せを
#梨