どこかを見るともなしに視線を泳がせている、不機嫌そうなヤツがいる。
黒ずくめの上下はあからさまな不吉を感じさせる。死神か悪魔か、どちらかを連想する事を隠そうとしないふてぶてしさであるのに、思い通りに事が運んでいないのが手に取るようにわかる。
ちらちらと気にしているのは、やや離れた席にいる青年だ。
彼の傍らには歳近い女性が寄り添っている。
普通の人間には見えない大きな美しい翼がその背にはある。それは青年を守るように広げられ包み込んでいる。
ちらりと黒ずくめの男に視線を投げた彼女は微かな含み笑いをもらす。
黒ずくめの男は苛立ちを隠せずにいる。そして呟く。
「よりにも寄って守護天使付きなのになんでリストに上がるんだよ」
管理者に抗議する事を決めて立ち去る男の背中、黒い翼はまるで貧乏揺すりのように揺れていた。
やや強引
久しぶりの長期休暇中の天使を
引っ張り出してみました
#揺れる羽根
10/25/2025, 12:57:54 PM