『逃れられない呪縛』5/23
手が震える。
この一線を越えてはいけない。
しかし、此処で止まってしまっては
犠牲になった石に顔向け出来ない!
コンビニに行こう。
魔法のカードを、魔法のカードさえあれば!
『昨日へのさよなら、明日との出会い』5/22
初めてなのに、知っている。
複雑な画面を慣れた手付きで操作して、
決定を躊躇った。
視線をあげると、同じ顔の人間が二人いる。
それは、昨日の私と、明日の私だった。
決定を押せば、昨日の私は初期化され
明日の私が記憶を引き継ぎ動き出す。
そして、明日には私が初期化され
記憶を貼りつけた明後日の私が私になる。
消して、貼りつけて、引き継いで
私は、私って何だっけ?
『透明な水』5/21
透明な水か、
日本に住んでたら当たり前に感じるけど
世界レベルで見ると凄いことだよね。
でも、透明だから飲めるとは限らない
海水は飲めないんだ。
なら、消毒液なら飲めるかなって、
人間は、消毒液を飲めません。
いや、日本人以外も飲まないよ!?
でもアルコール、、、いや飲まないよ!?
『理想のあなた』5/20
カッコよくて、優しいアナタを好きになった。
私の運命の人だと思ったんだよ?
でも、付き合って見ると、
アナタはとても堕落的で優柔不断
もうお昼だと言うのに、まだ寝ているよ。
「んんぅ、キスしてくれたら起きるかも」
起きません、知ってますよ。
「うん。好きだよ」
付き合った彼は理想と違った。
だけど、「私も、好きだよ」チュ
理想の生活かもしれない。
『突然の別れ』5/19
とある迷宮にて、
守護者を倒したら、迷宮の崩壊が始まった。
「ど、ど、どうしましょう、師匠!?」
「お前は、真っ直ぐ入り口まで走れ」
なるほど、逃げる。
なら全力でそうさせて貰います!
「師匠、そうと決まれば、、、って
そっちは、迷宮の深部ですよ!?」
師匠は方向音痴でしたっけ?
それとも、あれですか。
「、、、師匠。此処は任せて先に行け!
なんて、言ったら怒りますよ?」
「俺が、崩壊を何とかするから。
お前は、さっさと逃げろ」
言っちゃいましたか、怒るべきですか?
「、、、死んだら、後を追いますよ?
私、師匠に依存してるんですから」
「死なないさ、お前が一人前になるまではな」
はぁ~、なら、カッコつけてもらいますか。
無事に帰って来たら、
いっぱい褒めてあげましょう
「死んじゃ、ヤーですよ? 師匠♪」
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弟子が、階段を登って行くのを見守って
俺は、深部へ向かおうとして、足を止める。
左手、薬指に違和感を感じると同時に
指輪が砕け散った。
階段を駆け上がる、嫌な予感がする。
さっきまで、笑っていたんだぞ?
見知った人が、胸を貫かれ倒れている。
たった、数秒の距離だったのに、、、
救えた筈の、距離だったのに、、、
目の前に、復讐の対象が立っている。
お前も、迷宮の守護者なのか?
「ッこんなの、あんまりじゃないか?」