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2/21/2026, 12:19:27 PM

"0からの"

脱却。

藁にもすがる思いでいた。
筆を握り、一目惚れした古典を一心不乱に臨書していた。

字が綺麗になりたい

最初はとても小さな願いだった。
左利きなこともあり、字を書くのは苦手意識があった
綺麗な字が書けたら心地良いだろうなと思って始めたのが、書道。

気付けば生活の一部となり、心から好きと言えるものの一つになっていた。

だから書の腕を鍛えられる整えられた環境をもぎ取り、敷かれた下敷きの上に座っている

平日は大体3時間。休日は6時間ほど、通しで書に向き合っていた。
専門の場所での学習は楽だとは思っていなかった。

けれど、家に帰ってそのまま眠りこけて夜中に目覚める
なんてことがしょっちゅうになるほどキツかった

そんなことちっぽけになるぐらい書道が好きだった

ある日、書き続ける書を決めることになり、いくつかの法帖を取り出して眺めていると好みドストライクの書に出会った。

線の強弱も違えば字それぞれの大きさもバラバラ、流れるような書風には奔放さが深く窺える。

なんといっても小気味の良い連綿線が私の好みでしかない!
絶対書いてて楽しい。極めたい、極めてみせたい!

その書と目が合って0.1秒でそう思った。一目惚れと言っても過言では無い。
もしその書が人だったら誘拐を目論むほどには惚れたと思う

早速書いて先生に見せてみれば「案外悪くない」と言われた
褒めることが滅多に無い先生なので、心の底から喜んだ。

けれどそのまま成長できるほど、書の道は甘くない。

すぐに行き詰まった。独特すぎる雰囲気や連綿線の再現は未熟な私にとって酷く難しい。

手本を注意深く眺めたり、先生からのアドバイスを事細かに書き留めた。

右上がりが特徴の書でもあったため裏返して吊るし、右上がりが甘い部分に印を付けたりなどしていた。

賞はいくつか貰ったが、満足いくものには到底なり得なかった。

少しでも、ほんの少しでも0で無くなっていれば嬉しく思う。未熟な私の唯一。

2/20/2026, 10:48:05 AM

"同情"

心の柔く脆いところを撫で続けること

他人に憐れまれるのを嫌がり、怖いと怯えている

臆病な私は自他ともに幸せだと錯覚するほどの笑顔で蓋をした

今日も私は私の心を撫で続け手を濡らしている

汚れた手を拭い、濡れた床を足で払う

惨めにも、滑稽に

2/19/2026, 1:21:57 PM

"枯葉"

とある秋のこと。
時間はもう夕方で、辺りを紅色に染める太陽がいやに眩しかった。

左肩にトートバックを提げているが、ひどく重くて歩くたび肩に食い込んでいるのを感じる。

積読が底をつき、何冊か買えればいいと思い本屋へと立ち寄った。

だが、気になっていた本やどうしても手に入れたかった本
さらには、表紙に一目惚れしたものもあり結局、最終的に買った本は十数冊ほどになってしまった

予算オーバーも甚だしいが、嬉しさやら楽しさやらがぶち上がって涙まで出るほどだったので良しとする。

これこそ幸せの重みだと実感している。


そんな肩の痛みを噛み締めるようにふわふわとした足取りで歩いていると、ふと目の前をひらひらと落ちていくのを見た。

紅葉の枯葉。美しい掌状の葉が舞い散るのを見て右手で掴んでみる。

綺麗に紅く染ったそれは筆舌に尽くし難いほどに私の心を鷲掴みにして離さない。
心を打ち抜く音が聞こえてくる

新聞紙と沢山の本で挟んで、栞にしてしまおう

思いがけず私だけの素敵なお供が見つかり、更に舞い上がりそのまま帰路についた

2/18/2026, 11:07:22 AM

"今日にさよなら"

輝く月夜の下で
星が降ってくるのを待っている

濃い雲の間をちらちらと小さな白がこちらをのぞいている
ぼやけた空が酷くもどかしい

眺めていると一等輝くそれを見つけた
じっと見つめれば点滅して動いているのに気付く

一瞬
冷たい風が私を覆い去っていったので

私は帰ってさよならをした

2/17/2026, 11:05:56 AM

"お気に入り"

気に入った物というものは『ある』だけで落ち着く気がする。

気に入った色
気に入った音楽
気に入った本
気に入った食べ物
気に入った天気
気に入った場所

それらは私を証明するもの
私が安定して存在し続けることを実現させている。

そしてそれらを意図して定めなければ、無意識のうちに作ってしまった固定観念に縛られる事が無くなり物事をより一層、客観的に把握する事ができる。

それは私を不安定にさせ恐怖感を与えるが、視点を変えれば自由になるとも言い換えられる。


考え過ぎて我ながら意味の無い理論になってしまってとても恥ずかしいのですが…私はずっとこう思っていました。

私自身を構成するもの全ては、
有れば安心感を、無ければ自由を与えてくれるもの

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