誰よりもずっと、ずーっと、僕は努力してきたつもりだった。
でも、実際はそんなことなくて。
周りの人はさらに努力を重ねて、すごく優秀な人たちで。
こんなこと、思いたくないけれど。
僕は世間で言う、無能だった。
これからもずっと、こうして生きていくのだろうか。
人に頼ってばかりで、自立から程遠い自分が、変わる時などあるのだろうか。
ふと、深夜を過ぎたあたりでそう考える時がある。
僕は将来、小説家を志して、毎日パソコンに向かっているけれど、指がキーを叩く回数は少なく、物語の進みも遅い。
自分が魅力的な文章を書けているのか不安になって、SNSに上がる、『求められる小説四箇条』なんて言葉に大きく揺れて、軸のある物語を書けているのかも分からない。
でも、こんなに安定性のない仕事を目指した僕に対して、両親は温かい言葉をかけてくれる。
「大丈夫」
「夢を持って」
「頑張ってるね」
そんなことはないだろうに。
「ホント、どうしよう」
僕は家族みんなが寝静まった後のリビングで、静かにキーボードを叩いた。
星空の下で、なんて言うけれど、私はちゃんとした星空を見たことがない。
だって、街の光が強すぎるから。
遠くからやっとのことで光を届けてくれる星が負けちゃってるんだ。
今日も寝る前、そっと窓越しの空を見上げてみる。
すると、真っ先に目に入ったのは街灯の光。
案の定と言うべきか、やっぱり空に星はない。
技術の発展なんかは良いけれど、そのせいで昔懐かしの文化や習慣がなくなっていくのは、とても悲しいと思った。
大丈夫、それでいいよ。
1つだけ、夢が叶うなら何を願いますか。
そんな授業が一度だけあった。
僕の友人は大手を挙げて言う。
「尽きない欲望と! 四次元ポケット!!」
なぜか、クラスメイトには笑われていたけれど。
彼らしくて、とても良い回答のように、僕は思った。