ないよ。
なかったのに君に絆されてしまった。
俺はこんなものだったんだな、と思った。
・手放す勇気
ずっと前から言ってただろ、
やめておきゃ良かった。こんなこと。
ナツメグを買わなきゃいけない。
ハンバーグを作るから。
野菜は妻の帰路のスーパーの方が安い。
連絡しておこう。
もう寒くなってきたよな。
帰ったらブランケットを出して
洗濯機にいれよう。
明日は晴れるから、
他のものも出しておこうか。
帰りは何時になるんだったか、
米を炊いて、
あぁ、録画しようと思ってたんだ。
今日の夜のバラエティー。
夜8時から、
明日のゴミ出しは、
君にまかせるよ。
寝るんだろう。
スマホじゃなくて、本にしたら。
朝早いんだろう。
寒くないか。
洗濯するから、
明日から夜ブランケット使えるよ。
そうなのか。知らなかった。
うん、干しておく。
やめておけばよかった。
明日には、
明日は、
朝はやいんだろう。
本には、何て書いてある。
夜にはもう
妻の帰路のスーパーの方が安い。
花屋があるんだ、
そこの並びに、
おやすみ
早く眠るんだよ。
・酸素
どこまで行ったって考えてる
一周回って果たしに来るんだ。
・遠い約束
お前に届けたいのだけれど
いささか遠いね
・フラワー
明日もしあなたに会えるのなら、チョコレートナッツのパウンドケーキをもって。
明日がもし雨ならば君の家のリビングの白い椅子に座り。
明日世界が終わるとするなら僕は、君にキスするために世界の時間を遅らせて。
八つの目が開くなら僕は剣をもつ。
花が咲くのなら酒を。
祈りをもって星が瞬いた。
それはひとつ天の川のせせらぎ。
雷鳴が鳴るならば、裸足でカケル。
小石が肉を割く。花びらに空が孕む。
命をまっていた。まだ名の咲かぬ主へに。
夢でさざめいた。白兎の波が繰り返して、
繰り返して。
若葉の季節、黄色い陽光。
白い花弁か、ゆすらかな風の道みぜ。
あ、お前を待ってたんだ。
いのちのかげろう
白い雷光。
・約束