私の心を見透かす様な
物憂げな空
あと一歩が踏み出せない
何かが大きく変わる気がして
ギリギリで形を保っている
心が壊れる
音がした
その時マリーは自分の下腹部に手を当てる。
小さな命が自分の中に芽生えているよろこb
カタカタとキーボードを使っていた手が止まる
私が産み出した、小説の中の女性、マリー
本当に、喜びを感じているだけなのだろうか
彼女は23歳で、カレッジを卒業し希望の職種に就いた所である
今、出産育児休暇を取れば、彼女のキャリアは同期と大きく差が開くだろう
何故、気をつけなかったんだマリー!
一時の情熱に身を任せたばかりに!
いや、私が書いたんだけど!
ふぅ、と息を吐き席を立つと
コーヒーを淹れ一息つきながら考える
マリーの相手、ケビンはきっと喜んで彼女と家庭を築こうとするだろう
もちろんマリーも嬉しいはず
しかし、困惑や迷いも生じている
ケビンはそれを理解出来ない
そして、2人の間に溝が、、、
いや、違う
ケビンにも覚悟が出来ておらず、、、
いや、それも、、、、
私が産み出した小さな命が
どんな風に迷い、選択して、生きていくのか
決めるのは私じゃない
彼らは私が産み出した瞬間から、文字の世界で生きている
私はそれを代筆しているだけなのだ
彼らの物語を形にするため
私はまたキーボードに向かった
無償の愛って
母から子に向けられると思っていたけど
テレビで流れる悲しいニュースを見ると
全ての人に当てはまる訳ではなさそう
ふと、我が子を見る
目が合うと嬉しそうに笑い
小さな手を私の頬へ
あぁ、そうか
無償の愛はここにある
どんな母にも、こんな私にも
子供は、この子は、
見返りを求めない一途な愛を向けてくれる
私は愛されている
【love you】
自分が
どうでもいいような
消えてしまいそうな
そんな存在に感じてしまうとき
側にいてもらいたいのは
太陽のような
光輝き眩しい人より
陽だまりのような
暖かく包み込んでくれる人がいいな
でも陽だまりも太陽がないと
出来ないのかなって考えたら
太陽も必要だし
何が言いたいかっていうと
みんな必要な、大切な、存在ってこと
138億年前 ビッグバン
全てはそこから始まった
なんて壮大な物語
それから今日までが繋がって
今の私達がいる
全ては0から始まった
0からのスタート、なんて言葉
宇宙規模で考えたら
大した事ないって思えて
そう自分に言い聞かせて
新しい何かを始める勇気を持て