雨の日

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その時マリーは自分の下腹部に手を当てる。
小さな命が自分の中に芽生えているよろこb


カタカタとキーボードを使っていた手が止まる

私が産み出した、小説の中の女性、マリー

本当に、喜びを感じているだけなのだろうか
彼女は23歳で、カレッジを卒業し希望の職種に就いた所である
今、出産育児休暇を取れば、彼女のキャリアは同期と大きく差が開くだろう

何故、気をつけなかったんだマリー!
一時の情熱に身を任せたばかりに!

いや、私が書いたんだけど!


ふぅ、と息を吐き席を立つと
コーヒーを淹れ一息つきながら考える

マリーの相手、ケビンはきっと喜んで彼女と家庭を築こうとするだろう
もちろんマリーも嬉しいはず
しかし、困惑や迷いも生じている
ケビンはそれを理解出来ない
そして、2人の間に溝が、、、

いや、違う
ケビンにも覚悟が出来ておらず、、、

いや、それも、、、、


私が産み出した小さな命が
どんな風に迷い、選択して、生きていくのか

決めるのは私じゃない
彼らは私が産み出した瞬間から、文字の世界で生きている
私はそれを代筆しているだけなのだ

彼らの物語を形にするため
私はまたキーボードに向かった

2/24/2024, 10:33:11 AM