佐原369

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11/4/2025, 9:43:27 PM

題名『初恋の香蛾』


金木犀の花言葉に『初恋』があるというのは、有名な話だ。その理由もとても納得出来るもので、

「一度嗅いだら、忘れられない」

そんな、切ないような言い回しの理由だ。

初恋に未練があるわけじゃないが、今どこで何してるのか、元気にやってるのか、最近の私にとって金木犀は、そんな事を思い出させる香りになりつつある。

金木犀は、人の思い出にまで届いてしまうほどに印象に残る香りをしていると思うと、どこか夕焼けを見たような気持ちになった。いくら考えても意味がない程に

11/3/2025, 3:11:55 PM

『過去の話になっていく』


最初は「あぁ、そうなんだ」とかしか思わなかった。
母親が家庭持ちの男と不倫関係になって、それを隠して「変わらないから」なんて、おっそい事言って出てったよね。不倫相手の男の家には小学校にも上がってない小さな子がいて、前に1回遊んだことがあった、その時にママがその子の父親とやけに距離が近いのを見たんだ。気付いてないと思ったのかな、そんなに私は貴方を見てないと思うのかな、

許せなかったのは、まだ私よりも全然小さな子から父親を奪った事だよ。

最初はママがいなくなった事に。まぁそうだろうなぐらいしかなかったよ。
嫌いなんだ今の貴方は、とても嫌い、
不倫なんてしてさ、一度でも、一瞬でも、私を捨てる覚悟があったんだって私は分かってた。ママがそんなつもりなかった事、繋がるなんて思ってなかった事、浅はかな考えだった事、でもね、思わずにはいられなくなった。

最近、友達のお母さんを見るとね、羨ましいって思っちゃう、涙が出るぐらい、友達が少し怒られてる時、友達がお母さんに頼ってる時、何が思い出すことなのか私ばかりが悪いわけじゃない、子供だった今も子供だけど、前はもっと子供だった。


ママばかりが悪いわけじゃない、積み重ねで辛かったこともあるんだよね、看護師は辛いものだしね、いくら言っても言うこと聞かない子供も、ズレが出来始めてたパパ。他にもなにか嫌なことがあったんでしょ?優しいと思う?ううん、私全然優しくないよ。

辛いことだったり悲しいことが無いと、不倫なんてしないよなって、辛いことから逃げて欲望に走った欠陥品としか思ってないよ。でもね社会はそんな人にも優しくしましょーって最近なってんだって、だから、優しく見えることだけ言って、裏では複雑にイライラしながら心の中でお前らを何度も責めてるんだ。

帰ってきてほしいなんて思わないよ、だって今のママは汚いもん汚くて虫が寄ってきそう、私が戻ってきて欲しいのは過去のママだから、不倫なんてまだしてない時のママだから。

どんな事があっても、昨日には戻れないし、来るのは明日という未来だけ、どんな縋ったって、その日の過去は明日を重ねる度に遠くなって行く。言い換えれば過去は変えられずとも、明日は来る。どんなに辛くて悲しい夜でも明日の光はとても綺麗だった。

だから過去になる度に、いつかママの行動に対して、優しく何か言える日が来るのか、

いや、もう言えるんだ。

優しいなんて言われたくない、本心なのに思ったことを言っただけなのに、優しいと思わないでほしい、手の差し伸べてる訳じゃない、少しでも分かってもらえるようにしたいだけで、「行かないで」なんて願われたくない。

私は未来に生きて行きたい、足にしがみつかないでくれ。

11/2/2025, 11:39:43 PM

『幼い記憶での赤い月の標本。』


幼い頃のちょっとした記憶…
お母さんと手を繋いで帰った夜の道で、月が赤いことに気付いてさ、幼かった自分は世界終わるの?終末ってやつ??ってな感じで内心アホみたいに焦ってたんだけど、お母さんがちゃんと説明してくれたよ「皆既月食で赤く見えるだけだよ」
幼い自分からしたら何もかもが凄いことだったんだ。
自分はあの赤い月がまた見たくて、お母さんの部屋からこっそり持ち出した小説本。幼い自分には読めないばかりの漢字には目もくれず、赤いクレヨンや赤い折り紙、赤いリボン、お母さんの赤いリップ、…とにかく赤いものを使って、あの赤い月を小説本のぺージに再現しようと描いたり、くっつけたり、塗りたくったりして、遊んでいた。

大学生になった今でも、ページに何個も乱雑な赤い月が作られた小説本を時折思い出す、あっという間に大人になった自分を、幼い自分に重ねると必然的に懐かしさと少しの寂しさが胸に溢れていく、

今晩はそんな出来事を鮮明に思い出せる、
そんな夜だろう。

11/1/2025, 10:31:49 PM

『いつかの後悔』

愛猫の『リー』が夜明け前に息を引き取った。
老衰では無い、病気だったのかもしれない。怪我だったのかもしれない。
私は最低だった、本当に。
ずっと鳴いていた、いつもよりも大きく、誰かを呼ぶようにずっと…それなのに「様子おかしいね」なんて姉と話して、何もすることが無かった。
なんとなく察していたのにも関わらず、何かを優先しようとした。きっと大丈夫、また次の日には甘えるように頭を強く足に押し付けて転ばせようとしてくるだろう、そんな保証もないことを心に浮かばせて、安心しようとしたんだ。
でも死んでしまった。きっと私のせいだ、何がとは言えない、私のせいだろう。
リーが死んだ時、悲しみと共に安堵が浮かんだ。自分の感情のはずなのに理解できずにいた、私は…どこまでも最低だった。もう諦めていたクセに泣くなんて、最低だよな。
親が引き取った猫、小学生時代から傍にいた猫。
親は本当に無責任に動物を飼っていた。
そして私も命を背負うのが嫌で、諦めた無責任な人間。
リーの体が腐らないように、冬なのにも関わらず冷房をつけて周りにはたくさん保冷剤を置いて、リーの鼻から出ちゃう鼻水のようで血のようなものを日が昇るまで、火葬屋が来るまで拭い続けた。

死後硬直で固まったリーを火葬屋に預けた後、私自身はリーが死んだ事への実感が上手く湧かないまま、自分の部屋は私を責めるように冷たかった。愛してるなんて簡単に言うものじゃない。