1/22/2025, 12:23:02 PM
あなたは出し惜しみなく、わたしにくれる
母の背中を追っかけて泣き叫ぶわたしに
「うさぎ見に行くか」っておんぶしたときからだ。
タンスを孫の手で耕しても、
家の中に秘密基地を作っても、
「悪ガキだなぁ」とため息をつきつつ、
包丁を持ち出して手伝ってくれた。
最近はあなたは、ものをくれるようになった。
行くたびに要らなくなった洋服、本、家具などくれる。
家には「幸せな老後」の本。
受け取ったあとの嬉しいような寂しいような顔。
なんだか寂しくて、
あなたにもらったよりたくさん、
思い出をあげようと思ったのだった。
#あなたへの贈り物
1/19/2025, 10:22:31 AM
わたしと君は、鳥としまうまみたいでした
地に足がついた君に安心してとまり、
君は私の旅の話を興味深げに聞いていました
穏やかな時間がとても好きでした
風が吹いて、
わたしは旅立ち、あなたは群れに戻りました
群れの中のただ一人の君へ
これからも元気でいてね
遠くから、群れをぼんやり見つめ、
次の風を待つのでした。
#ただひとりの君へ
1/7/2025, 11:00:42 AM
自転車は悲鳴を上げ、漕がずとも進んだ。
シャツが背中に張り付き
銭湯帰りの髪の毛を吹き付けた。
左右に揺れたら?
ブレーキがやきついたら?
笑顔をはりつけて、
硬直して進む。
絶対一人ではこないな。
前の歓声を聞いて少しほころんだ。
#追い風
12/2/2024, 11:36:39 AM
暗闇は魅力的な落とし穴
危ないと言われるからこそ
見るだけなら聞くだけなら片足だけなら
みんなはまってく
#光と闇の狭間で
12/1/2024, 10:15:31 AM
遠すぎるものは
手が届かないものは
だれも知らないものは
とりあいにはならない。
手が届きそうなものには
たくさんの手が伸びてくる。
手に触れて
だれにでも手が届くと
とたんに興味を失ってしまう
#距離