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1/13/2024, 3:40:28 PM

この部屋から出たら、

この時間が終わったら、

その続きを考えたくなくて、

指先の温もりと甘い言葉に縋り付く。


#夢を見ていたい

1/11/2024, 11:01:37 AM

君がいるから平気だった。

コートのポッケにふざけて手を入れて

その中で手を握るのが好きだった。

2人共冷え性だから全然温まらなくて

鼻をすすりながら一緒に歩いた。


君と最後の日、改札前で握手をした。

君の鼻は赤くなっていた。

お互いの心は決まっていて、

なのに、君の柔らかくてちょっと冷たい指先から

そんな思い出がこぼれだしてしまったんだ。

#寒さが身に染みて

1/8/2024, 12:33:59 PM

「色とりどり」は強敵である。

化粧品売り場に行ったときのことだ。
その日は丸腰で前情報を持ち合わせていなかった。

売り場はブランドごとに整列されていた。
ローズ系の口紅は視界に入るだけで数種類、
ブランドを変えれば星の数ほどに感じられた。

アイシャドウパレットは私を誘惑し戸惑わせた。
「可愛い」と手に取った瞬間に
「いや、似合うのか。使いやすいのか?」
「そもそも自分はイエベなの?ブルベなの?」
「この値段はリピ買いできるか??」
の問いが繰り返される。

口コミや似合うパーソナルカラーをすぐにでも調べたいが、今日は一人ではない。

後ろから健気についてくる恋人は、
「ゆっくり見てください」のスタンスだが、
いつ「全部同じ色じゃん」なんて
疲れ果てるか分からない。

一つの情報も取りこぼすまいと
青ざめて目をぎょろぎょろさせながら、
店をぐるりと一周した。

そして様々な色と選択肢に圧倒され、疲弊し負けた。

次こそ準備を整え入店しようと
化粧品売り場を後にしたのだった。

#色とりどり

1/4/2024, 12:47:16 PM

味噌汁なのかもしれない。

もっと詳しくいえば、赤味噌のしじみ汁だ。

「好きな食べものは?」と問われても登場しない。

「食べたいものは?」と問われると浮気してしまう。

だけど、ひとたび食卓に登場すると、

心の隅々までにいきわたる。

「ああ、帰ってきた」と思える。

漁港で生まれ育った猫は一生魚を好み、

肉屋の看板猫は一生肉を食べる。

私も一緒なのかもしれない。

なんの変哲もない、

レトルトの味噌汁が深い幸せに繋がっている。

#幸せとは

1/3/2024, 12:27:56 PM

AM2:00

年に一度の音楽番組も
ぬくい布団も投げ出した。

窓の外は暗闇が深くて、
おにぎりは胃もたれしてしまう。

ニュース番組には知らないキャスター。
今更になって荷物を全部取り出して確認する。

そのうちエンジン音がして
雪道へ出発した。

恐ろしい森の入口
謎の野生生物
星の降る階段

「ダンジョンみたいだね」と笑った。

新しい西暦を雪に書き込む

興奮と眠気で喋ったり喋らなかったりしながら、
街を見下ろした。

吹き付ける風に足や耳が取れそうだ。

だが誰一人、不満を口にしなかった。

暗闇に赤い筋が灯る。
ゆっくりだけど早い。
私達とは違う時間の進み方だ。

ただ、なすがままに私は万歳をし、
オレンジ色に包まれていった。

#日の出

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