10/10/2023, 10:21:02 AM
暗い車内。
後ろから抱きしめられた。
「俺達、将来どうなってるのかな」って。
彼が望んでいるものは分かってた。
彼にずっと惹かれていた。
嬉しかった。
だけど、彼が好きなのは
必死に取り繕ってる自分だと気づいてた。
彼の人生をまるごと飲み込む覚悟が決まらないまま、
痛くて仕方なかった。
「わかんないや」
いつも彼がそうするように、はぐらかした。
トランクの暗さに感謝した。
#涙の理由
10/7/2023, 11:03:34 AM
そんなつもりはなかった。
ただ、車のドアを閉めただけだ。
でも、彼には私が力を込めたように見えたらしい。
「お、おい」
さっきまで、偉そうにしてたのに
散々、ニヤニヤしながら馬鹿にしてたのに
少し言い返したら、急に弱くなった。
彼も人間なんだと夢から冷めた。
#力を込めて
10/6/2023, 11:43:15 AM
まるでビデオの巻き戻しみたい
日暮れの曇り空が車窓を過ぎ去っていく
山の稜線を辿っていったら
急速に日常に戻ってしまう
まだしがみついていたくて
途中の田んぼでさえ思い出にしようとした。
#過ぎた日を想う
10/4/2023, 12:46:53 PM
よくも、くすぐったな!
仕返しをしようとした両手は
見事につかみ返された。
笑いをこらえきれない表情で
横にステップを踏みながら
よくわからないクラシックを
るーるるーと口ずさんでいる。
されるがままで、
仕返しをしようとする。
が、ギリギリをすり抜けられる。
私達の奇妙なダンス。
「楽しいでしょ!」って言われると、
「まぁいいか」と思えてしまう。
#踊りませんか
10/3/2023, 1:05:25 PM
たとえば、信号ですれ違う人
顔は見かけるけど、ほかは知らない。
友達以上に会ってるのに。
毎日、真逆の方向に向かっている。
まっきいろに染めた髪がプリンになって
ついに黒くなった。
そんな時間が経つくらい、すれ違っている。
私達はよっぽどのことがない限り、すれ違うだけだ。
もし数年後巡り会えたとしても、気づかないんだろう。
#巡り会えたら