ペリドット

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2/13/2023, 9:49:10 AM

伝えたい


着飾ることが好きだった。


1着3万円以下の服は選ばなかったし
出掛ける時の用意には最低90分。
髪を巻いて、必ず香水を纏って外に出た。
子供なんていらないが口癖だったよね。


今は着古したパーカーに色あせたデニム。
1着3000円位の服しか買わないし
90分あれば1日の家事は大方終わる。
あの頃の香水は玄関の消臭用になってしまった。


体型も随分と変わったから
もし10年前の私が、今の私を見たら
酷いオバサンだと鼻で笑うだろう。

でももし何かメッセージを伝えられるなら

キラキラしてないけど
今の方が何十倍も幸せだよ!
って伝えたい。

2/11/2023, 3:07:16 PM


この場所で


湾になっているその海辺は、常に穏やかな波しかこない。


ここで学校に疲れた時は時間を潰し

ここで初めての恋を実らせ

社会に出るとタバコを片手にのんびり眺めた。

子供が産まれる前にはお腹をさすって散歩をし

去年の夏には息子とカニを捕まえた。


この場所でずっと生きていけたらな。


都会にはもう疲れた。







2/9/2023, 4:48:54 PM

花束


27歳の終わり頃。
沢山のTo doリストを抱えて帰省した。

久しぶりの父からの誘いも多忙を理由に断ると
夜中にも関わらず突然キレだした。

「お前は、なしてそげんことも出来んとか!?」

萎んだ口元をわなわなと震えさせながら
振り下ろそうとする腕を必死で止める母。

結局、何発か叩かれたが痛くはなかった。
怖かったあの拳もすっかり歳をとっている。

それからの数日間。
父とは目も合わせずもちろん会話もない。
同じ空間にいることを拒んだ私は予定をさらに詰め、
家にはあまり帰らなかった。


まだ少し雪が残る朝。
笑い声が消えた実家から車で30分の場所にある
大きな扉の前。

久しぶりに聞いた声は少し震えていた。

「こんなお父さんだけど、〇〇ちゃんのこと大好きよ」

謝ることを知らない人が考えた精一杯の
ごめんね。だった。

まだ泣いてはいけない。

左手の大きな百合の花束をぎゅっと握り
おめでとうの声で溢れるの光へ
父と2人ゆっくりと歩き出した。

2/8/2023, 2:01:56 PM

スマイル


堪らなく可愛い。
可愛すぎて心と体が分離する。

次第に全身に広がるムズムズは行き場をなくし
小さな頬にそっと噛み付くことで昇華出来た。

可愛いの最上級は【食べたい】だと知った。

今日は君が初めて笑った日。

2/8/2023, 12:53:36 AM


どこにも書けない


結婚5年目。彼らに子供はまだいない。
画面に大きく映し出された2人の目尻には皺が寄る。
男性の方は結婚してから別人のように変わってしまった。
たぶん幸せなんだろう。

久しぶりに実家でお正月を過ごしたそうだ。
仲睦まじい彼らを囲むように、老若男女が笑い合う
よくある家族のお正月風景。

いいね!41。コメント7件。

でも本当のアナタを知る私は怒りに震える。
やもめの舅と1人分のお節を残し
毎年正月は自分の実家にそそくさ帰っているよね?

「久しぶり」の言葉に悪意を感じるが、8件目のコメントに真実を載せる勇気が出ない。

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