元さん

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7/27/2024, 4:21:11 PM

異形を愛す Part1

彼女は歌を愛し、人を愛した。人の居ない凍った浜辺で1人、彼女は歌を歌っていた。僕は彼女の歌をただ聞いている時間が好きだった。その時間だけは、この世界を忘れさせてくれるから。

僕の顔の1部は、生まれた時から焼けただれていた。いや、正確に言うと燃えていた。
奇妙な姿で生まれてきたものの辿る末路は、いつの時代も決まっている。僕が1人で浜辺に来ているのも、そういう理由だった。
その日も僕は1人で歩いていた。そこで僕は、1人の少女を見つけた。海に向かって歌を歌っているらしい。正直別に上手くなかったが、何故かその場を離れることが出来なかった。
ふと目が合ってしまった。気付かない間に僕は彼女の方へ近づいていたらしい。
僕を見るなり、彼女は言った。
「綺麗な顔。」
突拍子もない言葉に驚いたが、その言葉の意味を理解する頃には、泣いていた。
その日から僕の世界は、2つに分断された。

多分続く

7/14/2024, 4:11:50 AM

思念体じゃない、それは言う。娘など愛していないと。娘は泣き、古い記憶を思い出す。どれだけ厳しくても自分を見捨てない、妖艶なる母の姿を。今の醜い老婆と重ねると、また涙が止まらなくなる。妹はといえばまだ期待をしていた。母では無く、弟に。思念体に取り込まれ、半人となった血の繋がらない彼を思い続けている。そうでもしないと生きてる理由が見つからないらしい。
なぜ僕はこれを黙って見てるのか僕にも分からなかった。魔法使い少女の内側に隠れていた仲間の姉を、助ける義理がないわけではない。しわの寄った老婆が怖くて動けないわけでもない。ただ何も、何もできないのだ。
イデアは今何に乗っ取られているのか。管理者が腹の中にいる今、そこに秩序なんてあるのか。彼女は1人の女の子になれるんだろうか。雷竜は彼女の何に魅せられたんだろうか。どうして何も言わないのだろうか。
分からない。僕は部外者だった。彼女の愛を受け取るのは僕じゃなかったし、体と記憶を共有できるほどに共依存な姉も居なかった。ずっと1人だった。

6/30/2024, 3:55:58 PM

運命の赤い糸は本当にあるけど、それは消耗品なんだと思う。使えば無くなる。ちぎれ無くても尽きるもの。どうしたら良かったんだろ

5/20/2024, 10:59:33 PM

世界が変わることと自分を変えることは同意義なんだとわかっているはずなのに、ずっと誰かのせいにしている。ほんとに自分が嫌い

5/13/2024, 4:44:58 PM

失われた時間よりもきっとこれから失ってしまう時間の方が多いと思うと、どうしても生きていくのが億劫になってしまいますよね

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