毎年、変わりばえしない生活を送っている。
1年前といっても、特に何も無かったと思う。
まあでも、トラブルや体の不調が無いということで
平凡ながらも安定した日々だ。
この先もこういう生活でいい。
1年後も、その先もずっと。
「1年前」
退職して休養していた頃、一冊の本を買った。
「心が元気になる言葉」を集めた本で、いろんな
著名人が作品などに残した一文が連なっていて、
とある精神科医が著者だった。
自分の勝手で急に仕事を辞め、周りに迷惑をかけた私は、ある小説家の書いた「人に迷惑をかけるのは、そんなに悪いことなのか?」の一文を読んで
泣いた。著者の補足で「迷惑かけるのはお互い様
です」とあり、それは自分を守ってくれたように
感じた。
女性詩人の「自分のことくらい 自分で守れ ばか
ものよ」には衝撃を受けた。一人ひとりの生き方は違うから、世の中に合わせず、自身の価値観を信じればいい、という補足だったが、周りから変わっている奴と思われるのが嫌な私を大いに揺さぶった。
この二つは、時間が経って読んでも、改めてはっと
させられる。自分に刻み込まれた言葉というのは、
いつ触れても新鮮に感じるものなのだろう。
また、そのうち全部を読み返してみようか。今の自分に刺さる一文に出会うかもしれない。
〈記載した二つの文章は、一部内容を変更して
あります。〉
「好きな本」
雨が降り出した。
持っていた傘をさす。
しばらくすると、雨は上がったけれど、
曇り空はそのまま、どこまでも広がっている。
この時期の空は気まぐれだ。
天気予報なんか関係なしに、雨を降らせたり
止ませたりしている。
太陽の手番はまだですよ…と、日差しを見せて
くれない。
雨を毎日降らせるあなたは、まるで泣いている
よう。
なら、しばらくおつきあいしましょう。
雨が傘や葉に弾ける音もきれいです。
涙が止まったら、また明るい顔を見せてください。
「あいまいな空」
梅雨に咲くその花は、
雨に打たれてなお、きれいな姿を見せている。
連日のように降る雨に、鬱陶しさを感じる私の心を
穏やかにしてくれる。
どうか、まだ散らないで。
こんなに雨が似合う花は無いだろう。
「あじさい」
嫌いになってしまえばいいのに。
もう別れるんだから、
好きって気持ちはいらないわ。
「好き嫌い」