陽射しを遮る雲。
それでも雲があるときの方が紫外線が強く射し込むというから不思議だ。
緩やかに緩やかに肌細胞を壊していく。
痛みも何も感じない。
肌の中では少しずつ癌細胞が生まれ、正常な細胞が死んでいく。
それでも痛みは感じない。
私は、そこまで説明したところで生徒たちの表情がやや曇っていることに気がついた。
君が手を振る背中が好きだ。
また会おうと僕が振り返した手には見向きもしないその背中。
ByeBye、またね。
帰り道、嬉しくなって足取り軽く弾むスキップしたりして。
その日の夜、ニュースで君の名前を見てにんまりする。
――何者かによって崖から突き落とされた模様
違うよ、ちゃんと挨拶したじゃない。
確かに君と私は同じ景色を見ていたはずなんだ。
それがいつしか違う捉え方をしていると気付いたのはいつだったか。
「好き」
「私も」
「大好き」
「私も」
「お慕いしております」
「ありがとう」
「愛してます」
応えることなどできない。
同じものを食べて同じものを見て共に生活をしてきたのに、何が二人を違えたのか。
軋む床、押し付けられた背中。
逃げ出そうと思えばできるのに、君の涙が私をそうさせてくれなかった。
貴方のその手に私は導かれてきた。
遊びを通して忍びのいろはを楽しく学ぶことが出来たように思う。
いつしかその手は私だけのものでは無くなってしまった。
教師としての貴方は沢山の教え子を忍びへと導いていく。
私だけの貴方。嗚呼行かないで、お兄ちゃん。
「……ちょっと、こんな時に考え事?」
手をするり、と絡め取られて色っぽい眼差しが私を優しく見上げてくる。
「すみません……貴方のことを、少し」
「ここに本物がいるのになぁ」
拗ねたように頬を膨らませる貴方が愛おしくて何ともいじらしい。
詫びとばかりに緩く奥を突くと、甘い声がまろびでる。
繋いでくれた手をぎゅっと握り返す。
今は、今だけは、私だけの貴方でいて。
それはまるで宝探しのようなものだ。
焦る必要はない。
時間はたっぷりある。
寧ろゆっくりじっくり探す方が何かと都合が良い。
つぷん、
確か腹の近くにあると事前情報では聞いている。
「つらく、ないですか」
桃色の媚肉が行手を塞ぐも、潤滑油をたっぷり纏わせた人差し指が優しくそこを解していく。
ぎゅっと目を瞑り、このやり場の無い熱を何とか逃そうとしている貴方。
嗚呼、なんて可愛らしくていじらしいんだろう。
早く宝を見つけてあげますからね。
理性という名の矜恃から解放してあげたい。
快楽に身を委ねる貴方を見たくって、それでも決して傷はつけないように。
それは一体どこだ。
指先がある一点を掠めると甘やかな声がまろびでる貴方。
……やっと見つけた。