まにこ

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3/11/2025, 12:00:08 AM

皆が幸せでいられますように、そう願って神社にある石を持ち上げた。
重かったら叶わない、軽かったら叶う。
見た目に反し、存外軽いように感じた。
皆が幸せでいるということは、まず自分が幸せで満ち溢れていなければならない。
そのことに気付いたのはそれからもっとずっと後のことで。
自分に余裕が無いと他に幸せのお裾分けをすることなぞできないのだ。
自己犠牲が何故うまくいかないのか、その真実に気付けるのはもっとずっと後のこと。

3/10/2025, 2:53:04 AM

突然降って湧いた、怪異なるもの。
一度犯した過ちはきっと、死ぬまでついて回るのだろう。
墓場から産まれた赤子の片目を潰してしまった罪と罰。
それは、僕が一瞬にして水と化して消えてしまうまで続いた。
助けを求めて伸ばした手は「じゃっ、」という何とも短い返事でもって応えられた。
嗚呼、僕の人生は一体何だったのだろう。
……これで少しでも何かが報われるのならば、それで構わない。
痛みを伴う別れは、存外呆気ないものだった。

3/9/2025, 1:32:04 AM

ここは、誰にも言っていない私だけの秘密の場所。
大好きなお兄ちゃんにだって内緒だ。
そこは、皆が寝静まった夜だけ行くことができる。
「おやすみなさいお兄ちゃん」
「うん、おやすみ」
そんな間を置かず、隣ですぅすぅと寝息を立てる私の兄。
さて、今晩も探索開始だ。
横向きにごろんと転がる兄の寝巻きをそっと捲る。
ぺろんと出てきた、丸みを帯びた桃のような尻。
自分の指にだらんと唾液を垂らし、指先をどろりと濡らす。
兄の褌を少しズラし、秘密の場所へと指を沈める。
鼻に抜けるような甘やかなお兄ちゃんの声が探索の合図。
今晩はどこまで進めるか。
起きないように細心の注意を払って、少しずつ秘密の場所を暴いていこう。

3/7/2025, 11:27:31 PM

歌が聴こえる。
誰の、声だ。
キラキラと美しく光る輝きの中に大佐は消えていく。
ラ、ラ、ラ……
「大佐!早く!避難を!」
私の叫びも虚しく、宇宙要塞ごと抉り取ってそれは消滅した。
「時が、視える」
謎の言葉を残して。
必ず貴方を探し出します。
だからその時までどうか、お元気で。

3/7/2025, 1:48:50 AM

この空の下、あなたがいてくれることがどれだけ嬉しいか。
それはもう二度と会えることが無いと分かっていても。
風に運ばれてきた花の種が春を知らせてくれる。
嗚呼今年もこの季節がやってきたんだね。
じわり、溶けていく僕のからだ。
沢山の愛情込めて作ってくれた白いからだ。
頭のバケツが、カランと落ちる。

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