暗にその眼差しが全てを物語っていた。
これから来る幸せに輝いたまなこ、いつもよりも上ずんだ声、照れくさそうに微笑む唇、嗚呼それらは全てこちらが与えたかったもの。
そうか、最初からそうすれば良かったのだ。
これからひとつずつお前のその身に幸せを刻み込んでいけば良い。
上塗りの仕方ならもう知っている。
金輪際、こちらから別れることなぞ許さない。
ハッピーエンドが好きだ。
けれどもそれはそれとして可哀想なのも好きだ。
そこには大前提としてハッピーが無ければならない。
愛されているお話が好きだ。
けれどもそれは片方の一方的な執着や独占欲であってほしい。
自称ハピエン厨だが、これを名乗っても良いのか長年疑問だった。
最近になって知った、メリーバッドエンドという概念を。
もしかしたら私はこれが好きなのか。
ハピエン厨ならぬメリバ厨。
嗚呼今日もまた、光と闇の狭間で揺れ動く。
近くて遠い存在、手を伸ばせば触れられるのに触れられない。
僕にとってあの人はそういう人だった。
今になって思う、自分から離れてしまうならばいっそ魂ごと閉じ込めておけば良かったのに、と。
お前死んでも墓にはやらぬ、焼いて粉にして喰うてやる。
顔に掛けられた白い布の下で今、あなたは何を思っているのだろう。
これが僕にとってもあなたにとっても最適解だったんです
今は痛みの方が強くて何も分からないかもしれないけれど、きっとそれも時間が解決してくれます
だってあなたは言ってくれた、愛してるって
僕もそれに酬いたい、ただそれだけなのに
とこしえに生きる、願ってくれたのはあなた
否、それを望んでいたのは僕の方だ
人として愛してくれていたのだと今更気付いた
長かった暑い暑い夏と秋モドキにようやく別れを告げた、らしい。
お天道様の気持ちが変わらぬうちにこちらは新しい季節をもう受け入れてしまおう。