20年そこそこ生きていまだに自分の人生を他人事のようにみている節がある。
いつか、どうにもならない現実の壁というものを知って、人生に絶望する日がくるのだろうか。
それなりに辛い時間を過ごしたつもりの時期もあるといえばあるし、夢見がちなわけではないが、どことなく、まだ、自分は色々と甘い、と思われていそうな気がしてならないのだ。
いつか目が覚めるまでに強くなるしかない、なんて言いつつ、今できることなんて、とりあえず楽しく生きていくことしかないと毎日おもう。
【目が覚めるまでに】
子ども部屋と呼ばれたこの場所も、いつか病室になるのだろうか。
【病室】
また、起き上がったときには今日が終わりかけていた。
床に足を下ろし、暗い廊下をとぼとぼと歩く。
誰もいないのに、とにかく静かに歩かなければいけない気がしている。私の一日の歩数を測ったら、何歩になるんだろう。20歩もないような気がする。
そう思えるほど動いてなくとも、私の身体は薄く汗をかくし、余計な皮脂がまとわりついている。
停滞した匂い。わざわざ自分の為に温かい湯が流れるのを待つのも億劫なのでつめたいシャワーを浴びる。(浴びるというより、掛けたというべきか。そのうち濡れタオルで拭いてすまそうとするのではないか)
今日も数分ベッドから出て、またベッドに寝ころんだ。シーツも私の停滞した匂いを吸い込んでいて、身体を水で流した意味が無くなった気分になる。
明日、もし晴れたら布団を干して、私も汗を流した身体を洗ってから眠りたい。
明日、もし晴れたら朝日が窓から入るはずだ。久しぶりにカーテンを開けておいた窓から、柔い月明かりが入って私の足を照らしていた。
【明日、もし晴れたら】
昔、家族とみた恋愛映画のヒロインが言っていた。
「あなたのことが好き。でもあなたといる私は好きじゃないの」
わたしは頭が固い人間で、一瞬でも嫌だと思ってしまったら、知ってしまえばそれが忘れられなくなってしまう。
家族でも、親友でも、大好きな歌手でも。でも好きなところだってまだまだあなたたちにはあるから、離れようとはならない。しかし、時々思うのだ。
「でも、あんなところあるんだよな」と。
そんな歪んだ気持ちが忘れられない自分が嫌でたまらなくなる。
わたしが勝手に綺麗な人間だと信じ込んでいただけなのに。わたしが忘れられないだけなのに。
あなたたちの全部が好きなわけじゃない。でも全部が嫌いなわけでもない。ただ一緒に居すぎると私の中身が嫌いでいっぱいになりそうになる。そうならないために、あなたたちのことも、わたしのことも何もかも嫌いになりたくないから、一人でいたい。
暗闇で光るスクリーンに映った彼女がいる。雨に濡れながら、彼に心の叫びを、別れを告げた彼女の目には、誰への憎しみもなかった。
きっと、一人でいたなら、これからも憎まずにあなたたちと会って話せるはずだから。
【だから、一人がいい】