明良

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昔、家族とみた恋愛映画のヒロインが言っていた。
「あなたのことが好き。でもあなたといる私は好きじゃないの」

わたしは頭が固い人間で、一瞬でも嫌だと思ってしまったら、知ってしまえばそれが忘れられなくなってしまう。
家族でも、親友でも、大好きな歌手でも。でも好きなところだってまだまだあなたたちにはあるから、離れようとはならない。しかし、時々思うのだ。
「でも、あんなところあるんだよな」と。
そんな歪んだ気持ちが忘れられない自分が嫌でたまらなくなる。
わたしが勝手に綺麗な人間だと信じ込んでいただけなのに。わたしが忘れられないだけなのに。

あなたたちの全部が好きなわけじゃない。でも全部が嫌いなわけでもない。ただ一緒に居すぎると私の中身が嫌いでいっぱいになりそうになる。そうならないために、あなたたちのことも、わたしのことも何もかも嫌いになりたくないから、一人でいたい。

暗闇で光るスクリーンに映った彼女がいる。雨に濡れながら、彼に心の叫びを、別れを告げた彼女の目には、誰への憎しみもなかった。

きっと、一人でいたなら、これからも憎まずにあなたたちと会って話せるはずだから。

【だから、一人がいい】

7/31/2024, 1:58:59 PM