死が二人を隔てても
次に生まれてくる場所が
どんなに遠く離れていても
大丈夫
ちゃんと繋がってる
必ず出会える
この小指の先に伸びる糸を
見ることはできないけれど
ある日唐突に、何の前触れもなく
あぁ、やっぱりここに繋がっていたんだね、と
気付く日が来るのでしょう
その日まで短いお別れ
運命の人
◼️赤い糸
夏の絵を描いて。
朝顔、向日葵、百日紅
縁側の風鈴、灼ける瓦屋根の家々
庭に出したビニールプール
白いワンピース、麦わら帽子、子供サンダル
水飛沫、笑う君
なんでもいいよ。
とにかく彩度を右に右に、一番右に。
背景にはいつも
真っ青な空と
天に向かって聳え立つ巨大な白雲
チカチカする夏の色彩を抱いても
調和してくれるから安心して。
◼️入道雲
入道雲を背にして
笑いながらこちらを振り返る君の
笑顔をずっと探してる
夏の初めに予定を立てようと
懐かしい二つ折りの予定表を
弟から奪ったのだと
悪びれもなく広げる君
僕にはそのコピー
その夏ふたりは同じ時間を共有するつもりだった
花火大会の浴衣の匂いにソワソワしたり
突然の雨に呆然としたり
間に合わなかったバスを大声で追いかけたり
川沿いの蝉の煩い木陰で無為に時間を潰したり
チョココーヒー味のアイスを分け合ったり
そのすべてのシーンに君はいないけど
どこまでも続きそうな農道の蜃気楼の先に
やっぱり僕は
君の幻影を見る
◼️夏
「じゃあまた来るね、お留守番お願いね」
いつも通りのお別れをした
君は何も疑うことなく
柔和な笑顔で
「いってらっしゃい」と
送り出してくれた
それきり。
心から愛している
今までもこれからも
だけど今
ログインするのがつらい
君の声を聞きたいのに
起動する気にならない
愛してるのに、会いたいのに
ゲームに興じる気になれない
「忘却」に並んで厄介なモノ
「飽き」
◼️君と最後に会った日
真っ白の菊
花弁に触れてはいけないと
触れた処から傷んで腐っていくのだと
知っていたはずなのに
どうして触れたの
どうして触れずにいられなかったの
◼️繊細な花