東京ははぐれ者たちの共同体
子供の頃から
故郷のムラという共同体が大嫌いだった
ムラ全体が血縁関係で繋がっているという
逃げ場のなさが息苦しかった
いつか大人になったら
誰も会いに来れないくらい
遠くへ遠くへ行くんだと
強く願っていた
環境が変わる度、私は人間関係をリセットした
着信は取らず、メールの返信もしない
所謂、疎遠
私はとても人当たりよく
優しく温和な人間だと言われたが
いつかリセットする、そう思っていないと
円滑な人間関係なんて築けない
なるべく遠くの高校、大学を選び
友達と仲良く過ごし
卒業と同時に全リセット
小、中、高、大全ての友人、恩師を切った
過去の職場の同僚も切った
友達はいないが煩わしさもない
ふと思い立った時に
ディズニーランドに行けないくらいが悩みだろうか
「回避性パーソナリティ障害」
そんな言葉をたまたま知る機会があり
ああ、私はこれなのかと思った
ここで私は一人だけど
この街には地方からはみ出してきた
ひとりぼっちがいっぱい
スーパーのお惣菜を取り合ったり
道を譲り合ったりしながら
今日もしっかり生きてる
二度と帰りたくはない
◼️街
推し活
ホストとかアニメのキャラとかじゃなくて
(よく考えたら他人に金注ぎ込むのおかしくない?)
自分を推す
自分で推して
自分で返す
どこまで輝けるのか、応えられるのか
試してみたい
◼️やりたいこと
朝は始発で出勤
&夜は終電で退勤
業務形態が悪いんじゃない
支店長の指示で
本社に頑張ってるアピールをしなければならない
いわゆるブラック職場
真っ暗な田舎道を自転車でのろのろと進む
日の出前、世界はまだ夜、睡眠不足で気分は最悪
ゆっくり静かに、東の空が淡く白んでいく
地平線の向こうには太陽が待機している
嫌になる
辛くてもしんどくても朝は来る
そして夜明けはなんだか神聖で
「新しい朝が来る 希望の朝だ」
歌の通り希望を形容したくなるのがわかってしまう
少しだけ前向きになって
真っ赤な朝焼けにお祈りをする
「今日こそ事務所に隕石落ちますように」
◼️朝日の温もり
生まれてから今までの
膨大な量のシナリオ
書いてくれた人ありがとう殺す
いつ冒険は始まるんですか
誰が攻略対象なのか未だにわかりません
選択肢は常に3つ
どういうバグなのかいつも2つはグレーアウト
この先がトゥルーエンドだと思いたくない
分岐してくれ頼むから
私に選ばせてくれ
行きたい場所があるんだ
◼️岐路
カウントダウンが始まる
混乱、あるいは穏やかに
最期を待つ人々を尻目に
初めてふたり、手を取り駆け出して
教会へ行きましょう
この日を迎えるまで言えなかったなんて
馬鹿みたい
でもやっと誓える
ロスタイムはハネムーンに使いましょう
◼️世界の終わりに君と