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2/13/2023, 11:08:00 PM

待ってて


まだね、こっちでもう少し
やることあるから。

だから、見守って下さいね。

いつかそちらに行くまで
お父さんと二人仲良くね。
 
待っててね。

2/12/2023, 12:53:48 PM

伝えたい


拝啓、しずく様。


偶然、知りあった
遠い異国に住むあなた。

会話でふるさとが同じと知り
お互いふるさとの深い藍色の海を
思い出しましたね。

子どものころ、二人とも犬を飼い
砂浜を散歩していたことも同じ。

大切な犬が虹の橋を渡り、今も
心の中に生きていること。

私の母が先日、亡くなった時
お父様が私の母と命日が同じと
教えてくれたこと。
とても驚きました。

「同じ日に大事な人を亡くし
これからも同じ日に大事な人を
思い出すのですね」そう言って
私の痛みに寄り沿い共に悲しんで
くれました。

会ったことないあなたに
私は、とても救われたのです。

あなたに心からありがとうを伝えたいです。

いつかふるさとの海の砂浜を二人で
歩いてみたいですね。

このような出会いを「仏縁」と
言うのだと、昔、母が教えてくれたこと
思い出しました。

仏の縁とは、ご先祖様や、今は、亡き母、
自分の大切な人の導きで出会う事だと思うと
あなたとのご縁が嬉しく感じます。

ふるさとを遠く離れて
さみしい気持ちがあふれる時
思い出して下さいね。

1人じゃないということを。

2/11/2023, 2:53:14 PM

この場所で


結婚して今の場所に住んだ。

水が合わないのか、
土地の風習、人の性質、
私の生まれ育ったふるさとと
ずいぶん違う場所に馴染めないまま
過ごした。


私は、長い時間をかけて
嫁いだ家のしきたり、地域の行事等
この土地の居心地の悪さを
少しずつ受け入れていった。

何度も泣いたし、逃げたくなることも
あったけど、長い月日と共に
友人が出きて、自分も母となり、
気づけば、たくましいおばちゃんに
なっていた。

私、泣き虫だったのに。

今じゃ少々のことじゃびくともしない。(笑)

人は、経験した苦しみ、悲しみ、辛さ、
すべてが糧になる。

母も、祖母も、女性は、嫁いだ時点で
皆同じような経験しながら
見知らぬ土地に溶けこんで行くのだと
思う。


この場所で生きてゆくしかない。

いつしか、覚悟のようなものが
私の鎧になって、居心地の悪さも
消えていた。

2/10/2023, 1:30:12 PM

誰もがみんな


311、
あの日、東北に住む人は、みんな、
一斉に命の危険にさらされた。

助けて。
怖い。
死にたくない。
長い長い揺れの中、皆、祈った。

10メートルの津波が来たらしいぞ。
誰かが叫び、内陸にいた自分たちは、
誰もが、家族の無事を願ったに違いない。。
 
たくさんの命が失われ、
助かった人は、
命に感謝したに違いない。

震災を経験した誰もがみな
幸せな明日を願い、
懸命に今を生きているはず。

だから、
暖かい春が皆、恋しいはず。

東北人は、皆、
満開の桜の下、たくさん笑いたいはず。

命の息吹きを感じる
花を見つめて穏やかなひとときに
ほっとする時間を感じたいはず。

今年も春は、そこまでやって来て
いるから。
誰もがみんな、、、。

2/9/2023, 3:52:14 PM

「花束」

私も夫も地味な人生を
過ごしてきたのかなと思う。

誕生日も結婚記念日も
花を贈ったり特別なことをしないと
決めている。
お互いがその記念日に元気でいること。
一番の贈り物かなと。

夫が定年を迎えた日。
せめてこの日だけは、花束を贈ろうと
小さなバラの花束を用意した。

仕事を納めた夫は、
かかえきれない花束を持って帰宅した。
職場の同僚や、友人から贈られたのだ。

人生初、夫は、最高の花束をたくさんもらった。
部屋中がお花畑。
穏やかで、誠実で、誰にも優しい夫。
職場でも地味ポジションの夫。
それでも花束の数だけ夫を認めてくれる
人がいたことが嬉しかった。

でもあの華やかなたくさんの花束を
見た後に、妻として、小さな花束を
あげるのがちょっぴり気まずかった私。

結局、渡せないまま、華やかな花束に
まぎれこませて飾った。
夕食は、少し豪華に定年を祝い
長い間お疲れ様でしたと言葉をかけて
地味夫婦のささやかなイベントは、終了した。

定年から三年。夫の趣味は、園芸。
せっせと花を育てている。

ある日、夫の育てた鉢植えにバラが一輪咲いた。
私の好きな可愛らしいピンク色。

このバラの花の色好きだわと夫に告げたら
なんとあの時、たくさんもらった花束から
バラの花だけ刺し芽にして育てたのだと
言う。
さまざま数種類バラがあったけど
刺し芽で根ずいたのがこのピンク色の
バラだけだったらしい。

私が用意した小さなピンク色のバラの花束。


夫は、気づいていない。
私の花束を刺し芽にして育てていたこと。

私には、嬉しいサプライズだ。
でも花束を用意してたことは、
内緒のままにしておこう。

夫は、きっと花束を欲しいわけじゃない。
花を育てて花を咲かせたい。
それだけのこと。

私の花束を育ててくれたことが
何より私は、嬉しい。

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