8/8/2024, 3:20:30 AM
運命なんてない。
私の人生はずっと親の決めたレールの上を走っている。
最初から決まっていた。最初から決められていた人生を歩んでいる。
好きな物、好きなこと、好きな人まで全部全部親が決めてきた。
私の人生なのに私に決定権はない。
「これはあなたのためなの。」
何度も聞かされてきたそのセリフは毎日繰り返され、私は親の言うような"いい子"に育ってきた。
ついには婚約者が現れ、私の結婚が知らされた。
そう。全ては最初から決まっていた。
8/5/2024, 7:38:14 PM
鐘の音がなる。
聞き慣れた学校のチャイム。
時刻は5時30分。
今日は部活もないし、友達は休み。委員会の仕事も終わった事だしさっさと帰ってしまおうかと思った。
「ねぇ」
聞きなれない声。後ろをむくとそこにはあまり話さないクラスメイトの男の子が立っていた。
「これ、落としたよ。」
彼が手に持っていたのは私のハンカチだった。
「あ、ごめん。ありがとう。」
私はハンカチを受け取り、お礼を言った。
それを見ながら何故か彼はふっと微笑みながら言った。
「君ってなんかそそっかしいところあるよね」
窓から差し込む夕日に照らされた彼はキラキラと輝いて、見とれてしまった。
5時35分を告げる鐘の音が鳴り響く。
恋に落ちる音がした。