鐘の音がなる。
聞き慣れた学校のチャイム。
時刻は5時30分。
今日は部活もないし、友達は休み。委員会の仕事も終わった事だしさっさと帰ってしまおうかと思った。
「ねぇ」
聞きなれない声。後ろをむくとそこにはあまり話さないクラスメイトの男の子が立っていた。
「これ、落としたよ。」
彼が手に持っていたのは私のハンカチだった。
「あ、ごめん。ありがとう。」
私はハンカチを受け取り、お礼を言った。
それを見ながら何故か彼はふっと微笑みながら言った。
「君ってなんかそそっかしいところあるよね」
窓から差し込む夕日に照らされた彼はキラキラと輝いて、見とれてしまった。
5時35分を告げる鐘の音が鳴り響く。
恋に落ちる音がした。
8/5/2024, 7:38:14 PM