夢を見た過去はなく
夢を見てもすぐ忘れ
ずっと寝ていたいとは思えど
夢を見てたいとはさほど思わない自分。
それでは話にならないので、
12月3日に見た夢のことを語りましょう。
辻褄が合わないとこがある?
そりゃそうだ、これは夢なんだから。
嫌な夢を見た…。
夢の中では海外で起きた残虐事件を被害者視点で追体験しているってことになっていたけど、そんな事件、調べても出てこなかった。
登場人物はみんなアメリカ人。
体育館みたいなところを貸し切って親類とイベントをしていたら、白髪の博士みたいな頭をしたおじさんが外からうろうろとこっちの様子を窺うように見てきた。
(このとき私は夢の中で、「例の、集団を執拗に追いかけて殺していった残虐殺人犯だ!これは追体験させられる夢か?」と感じていた)
おじさんはしばらくすると窓の側まで寄って、こちらの様子を窺っていた。その頃には屋内の皆が、あのおじさんは異常だから気をつけろという認識を持っていた。
ニタニタと危ない笑みを浮かべながら大きなガラス戸に手を掛ける。よく見ると左手に銃を持っていた。皆、これは襲われてるぞ!という認識をもって逃げるモードに変わった。
幸いガラス戸には鍵がかかっており犯人は入ってこられない。痺れを切らした犯人が銃でガラスを割って入ろうと銃撃したようだが、幸い防弾ガラスになっていたようで、ガラス戸はびくともせず我々を守ってくれている。
ひとまずみんなで安堵したところで、室内にいる叔父さんが「皆安心しろ!入ってこれない!」と声をかけた。大人には一目瞭然だけが小さな子どももいたからあえて言葉にしてくれたようだ。
犯人はなおも諦めず、うろうろと横へ移動していきながらガラス戸が開かないかと確かめていく。我々は犯人から少しでも離れた位置でいつでも逃げられるように犯人の動きに合わせて警戒している。
いくつかのガラス戸を調べた犯人が、とあるガラス戸に手を掛けた時、ニタ~っとひときわ嫌な笑みを浮かべた。ガラス戸が、少しスライドしたのが見えた。瞬間にさっきの叔父さんが叫んだ。「あいつと離れた窓からバラバラに逃げるぞ!」皆はその言葉を一瞬で理解し、犯人から離れた窓から、犯人が入ってきたらすぐ逃げられる態勢をつくった。
犯人が入ってきたため、私の左斜め前のガラス戸から逃げようとしていた人達が外に走り出た。すると、犯人は中には入ってこず、その人達を狙おうと、外に出て回り込んでいくのが見えた。外に出たところ犯人が見えた人達はまた室内に戻ってきた。室内に戻るとまた犯人は中に入ってこようとする。外へ逃げようとしては、逃げられず中に戻ってくる。それを何度も繰り返した。慌てながら何度も繰り返すうちに、鍵が開いているガラス戸が何ヵ所かできてしまった。犯人は巧みに、且つ追いたてて楽しむようにガラス戸から入ろうとしては外に出てを繰り返した。
私のそばには4,5才くらいの長い金色の髪をした女の子がいた。この子をどうにかして守らないとと、体力を消耗させないように必要最低限の動きで室内を逃げ続けていた。
動きがあった。撃たれる覚悟で皆が一斉に一目散に逃げ出した。「女の子の足が遅いからちょっとリスクになるな」と考えていたところ、幸い犯人はこちらには来ず、私の左壁面にいた集団を追って左側に走っていった。
チャンス!と思って女の子を連れて後ろのガラス戸から外に出て、右側に逃げた。
犯人が追っていった方からは、たくさんの悲鳴と銃声が聞こえた。
女の子を連れて「少しでも遠くへ」と思って必死に逃げた。すると私から離れた右斜め前の辺りに小さく土埃がたった。
まさか…、と思って後ろを振り返ると犯人が銃を右手に構えて大股で歩きながら楽しむように撃っていた。
こちら側に逃げた皆は、少し逃げるペースを落としていたところだったが、また必死に逃げた。固まると銃弾が当たるからバラバラに間隔を空けながら逃げた。
何人かは銃弾に倒れて逃げる人数が減っているようだ。「反対に逃げた人達もすでに撃たれただろうな」と感じた。
逃げていると銃弾による土埃がこちら側に集中しているような気がする。犯人は私を狙っているようだ!?
まっすぐ走ると狙いを定められいずれ撃たれると判断した私は、ジグザクに逃げた。
左斜めに走って、犯人が撃ちそうだなという直前に右斜めに走る。そんな走りを左右繰り返した。
うまく切り返し犯人は私をあきらめて別の人を狙ったようだ。私のまわりに着弾してた銃弾の気配がなくなった。
いつの間にか逃げきって、フリーマーケットをしてるようなところにたどり着いた。ここまで逃げられたのは三十代後半の男女と、一緒に逃げてきた女の子と私だけ。
ようやく逃げきれたと感じた私たちはひと心地ついた。
1メートル四方のキューブ型をした花壇がたくさん積まれたモニュメントの周りで休んだ。
助けを呼びに行く体力も残ってない皆は、体力が回復するまで一時休んでそれから警察に向かおうと考えていた。
焦点が合っているか合っていないか分からないような目で、漠然とフリーマーケットを眺め回した。ひとしきり見回してふと右側を見た時、30 mほど離れたところからこちらを見ている白髪の博士頭をした人物に気づいた。
私は目を見開き焦点があった。あの犯人がニタ~っと笑ってこちらを見ている。手に持った銃は中ぐらいのサイズに見えた。
皆が一目散に逃げた!
私ももう女の子のことは構わず必死に逃げた。幸い犯人は私じゃない誰かを追っているようだ。ひとしきり逃げた私は目の前の花壇の山を登っていって犯人の視界から外れようと考えた。
何段か登りキューブ状の花壇を壁にして犯人の様子を窺ってみるとまだ誰かに銃を向けて撃っていた。フリーマーケットをしていた広場から人は消え、運動会に設置してあるようなテントが通路をつくりつつ並んでいるばかりだった。
犯人が撃ち終わって周りを見渡し次の標的を探している。犯人がふと上を見上げ、モニュメントの上の方にいた私と目があった。
すかさず犯人がこちらに向けて銃を撃ってきた。私は花壇を壁にして、下から狙う犯人と対峙した。白く塗られた花壇の側壁に銃弾が当たっているのが分かる。
私は必死に当たらないように、時折左右に動く犯人に合わせて、花壇を壁に左右に移動した。何発も、何十発も必死に避け続けた。
そして、ようやく、夢から覚めた。
そんな微笑みってあるかよ。
そんな眼差しってあるかよ。
普段そんな顔、誰にも見せないくせに。
慈悲深ささえ感じる、その瞳。
まっすぐな瞳。
いくら見てても見飽きない。
むしろ、ずっと見ていたくなるその瞳。
たまらなく、愛おしくなる…。
心が暖かさで満たされて、心地よくなる。
その目、その顔、その声が、私を魅了し惹きつける。
それだけでも十分なのに、それだけですごいのに、何で言ってないことも分かる?
何で離れた場所で同じことをする?
何故会話が成立してる?
何故欲しいところに手を貸せる?
お互いにさ。
何度言われた?
「それ会話成立してんの?」
してるんだよ。
ちゃんと。
お互いに。
心地いいくらいに。
阿吽の呼吸で。
お願いだから離れないでよ…。
離れたら自分が自分じゃなくなるんだよ…。
お互いパワースポットなんだからさ。
ずっとこのまま…、一緒にいようよ。
別にこのままでなくていい、一緒に生きようよ。
みんな巻き込んでさ。
家を出た時は完璧だと思っていた。
多少風は感じるが、むしろ心地いいと。
違った。
指先から冷えていく。
あれよあれよという間に痛みに変わる。
手だけじゃない。
足先、頬っぺた、鼻の先、少し歪んだ耳の先まで。
気をつけてないと、もぎ取れるんじゃないかと思うほど痛くて堪らない。
いったい何を間違えたのやら。
これ以上身を守る装備を持たない私は、亀のようにかたつむりのように、柔らかな甲羅に身を縮めて身を守る。
早く進みたいのに進めない。
いつになったら帰れるのか。
軽い絶望を感じながら、空腹のおかげで別のことが考えれる。
帰ったら何を食べようか。
温かいものがいい。
鍋にしようか?
せっかくならカロリー高くて食べごたえのあるものを。
そうだ、シチューにしよう!
今日はシチューだぞう!
縮こまっていた脚が、少し伸びて歩調が速まった。
今日は自分語り。
二十歳になった時、私は自分を許せずにいた。
「これで大人?世間知らずのこのガキが?」
大人だと自信をもって言える部分がひとつもない。
そんな自分が許せなかった。
その思いは制度にまで及んだ。
「20歳になったら自動的に成人とはどういうことだ。こんな自分が成人だなんて絶対!認めない!」
成人式を迎えるその年、私は成人式に出なかった。地元には帰ったよ。成人式後の同窓会にも出席した。でも、成人式には出なかった。
成人だなんて、大人だなんて、誰よりも自分が一番、自分を認められなかった。
親は悲しんでたなぁ。
「せっかくの成人式なのに…」
私は答えた。
「自動的に成人だなんて認めない。
まだ成人と言えるほどの人間になってない。」
親は「そぉかあ…」と諦めた。
信念をもって決めたことは、なかなか譲らないことを知っていた。
結局私が自分を成人と認めたのは、その2年後。
大学の卒業式の時だった。
晴れ着を着て写った写真には自信たっぷりの笑み。
親も2年越しの晴れ着姿に喜んだ。
ひとつ残念なのは、その写真が人生で一番太っていた時に撮られたものだということだろうか。
ま、それもよかろう。
みわくてきな ひかりをはなつ
かげをかかえた そのからだ
づいぶんながく じくうをこえて
きれながすがたで みりょうする