ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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10/26/2024, 10:31:51 AM

愛言葉

愛言葉というタイトルで書ける気がしない。合言葉なら書けたと思う。そも私は愛が入ってるタイトルで書ける気がしない。「愛憎」でも無理だと思う。あ、でも、「偏愛」なら書けるかも。あとたぶん同性愛でもまあ書けるっちゃあ書ける。書かないけど。愛なんて適当に扱えよ。そんなものにこだわると消化が悪くて腹壊すよ。まして愛と言葉を考えもなく組み合わせたら下痢するのは間違いない。愛と言葉を組み合わせるのは難しいんだよ。単純に愛と言葉を合わせて愛言葉とかヒッジョーにつまらん。もっと面白いお題をよこせ。

10/25/2024, 10:39:08 AM

友達

「あたしたち友達よね!」
明るい声で適度にボディタッチしながらいうこの女の子は人間じゃない。AIによって動かされている疑似人格をインストールされたアンドロイドだ。私としてはアンドロイドの友達がいても別にかまわないというか気にしてたら友達なんか作れないのでにっこり笑ってうなずく。私は中2で今日は合唱祭なのね。でも私は知ってる。人間はもう数少なくなってて、私のクラスメートも半分は人間じゃない。でも私は今日みんなで歌った合唱はほんとよかったと思う。半分がアンドロイドでも…アンドロイドの子たちは音程が確かだから私たち人間もアンドロイドがいるとすごく楽に音がとれるんだよね。でもアンドロイドの子たちは私たち人間がいると感情のこめかたがわかりやすくなるっていうの。アンドロイドはきっと私たちのよき友達なんだと思いたい。こんなに素晴らしい時間を共有できるのだもの。

10/23/2024, 10:48:04 AM

どこまでも続く青い空

青い空はどこまでも続かない。物理的に考えて当たり前のことだ。青い空がどこまでも続くように思えることはある。

たとえば、それは、こんなとき。

頭部の三分の一を共有する結合双生児の女の子たちが、空を見上げて歌っている。足をなくしたスイマーが湖を泳ぎきってピースする。下半身が動かない車椅子バスケの選手がシュートを決めて笑う。

青い空は続かない。続くように思えたらそれは幻影か、あるいは、人間がなした仕事の結果だ。青い空は続かないのが自然なのだから、それが続くとしたら不自然なことで、つまりそれこそが人間の仕事なのだ。

※※※

蛇足。

今年の4月に結合双生児であるロリ・シャペルとジョージ・シャペルが亡くなりました。歌手であるジョージが明るく晴れた公園でたくさんの人に囲まれて歌う動画を見たとき私は、この動画みたいに幸せな一瞬は人生で何回もないだろうなと思いました。青い空は続きません。幸せも一瞬。でもそれでいいんだと思います。

10/23/2024, 9:57:28 AM

衣替え

衣替えというものがあったのだと国語で教わった。歴史じゃなくて国語。昔の季語を調べてレポートに書いてみようっていう単元。ここは日本の東海地区なんだけど、だいたい3月から11月まで暑いの。12月になるとようやく涼しくなって、クリスマスくらいから1ヶ月くらい寒い。だから衣替えの季節感って冬のような気がするのね。きちんと春と秋があって、冬が3ヶ月あったという昔の日本のことを考えてみる。よくわかんない。暑い季節が短いのはいいなあ。でもそんなの書いても点数つかないかも。どんなの書くのがいいのかなあ。衣替え。秋と春の衣替え。想像が難しいや。

10/21/2024, 10:39:22 AM

声が枯れるまで

「声がなくなるまで」という歌があった。いつごろだっけ。たぶんあたしが若い頃。あたしもう若くないの? うーん。わかんないけど大人になった気しない。なんの話してたっけ。そう、そう、「声がなくなるまで」よ。ジュンスカよ、あたしあれすっごい好きだったのよ。声が枯れるまでじゃなくて、声がなくなるまで。声が枯れるくらいなによ。枯れたってまだ声があるなら歌いなさい。…そう、そう、あたしはそう思っていたの。自分がほんとに声をなくすなんて思ってもみなかった。あたし癌で声帯をとってしまったの。それでもあたしは声を出す訓練をした。ゲップの要領で声を出すの。ひどい声よ。カエルみたいよ。でもこれはあたしの声。いまあたしに出せる最高の声。あたしの声はまだなくならない。

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