ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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5/31/2024, 10:45:17 AM

無垢

不思議な少年の名は秘す。彼の年齢は一万六千歳。私は彼を仰ぎ見る、ということはない、なぜかというと彼は案外チビだからだ。これをいうと彼は怒るが。チビなサタンの甥は指先で人間をひねりつぶしながら「みんな狂えば幸せなのにねえ」というが実際問題こいつはほんとの狂気を知らない。何にも知らないただ力強いガキであり、こいつこそは悪魔であり天使であり、これこそが無垢であろうと思うその指先にひねりつぶされてまた人が死ぬ。

5/30/2024, 10:54:42 AM

終わりなき旅

『果しなき流れの果に』なんて本が前世紀に存在するのだから、「終わりなき旅の終わりに」という物語が存在してもいいだろうと思いながら見る南の空にうみへび座。私たちはあそこに向かって太陽系ごと長い長い旅の途中なのだ。行先が遠すぎて終わりなんか見えない終わりなき旅に地球人全員参加してるんだぜあなたも私も、夜の窓に貼り付いてるアマガエルも。

5/29/2024, 11:09:01 AM

ごめんね。このお題は書く気にならない。

「ごめんね」

5/28/2024, 11:04:33 AM

半袖

自分の半袖の発音は標準語とアクセントもイントネーションも違う。違うのはわかってるの。わかってるけど私の発音で言うのよそれが私にとっての半袖だもの!と力説するきみをぼくは微笑ましい思いで見つめる。アクセントが違うくらいかわいい。うん、本当にきみはかわいいよね。ぼくはまず発音、いやそれより先に音声とは何か学ばねばならなかった。ぼくがいた異なる世界に音はないんだ、でもかわりに����があるよ、愛するきみに����を贈ろう。

5/27/2024, 11:01:23 AM

天国と地獄

走り出す。だってこの曲が流れたら走るしかない。運動場は明るくトラックは小豆色と抹茶色、ぼくは走る。なんで走ってるんだろう。走らなきゃならないことはわかる。ぼくは前の選手を追い抜きトップに躍り出る。歓声が心地よい。こんなに楽しく気持ちいいことはあんまりないだろう、と思う間もなく背後の選手がぼくを抜く。追いつこうとがんばる、しかし離されてゆく。離されてゆく。苦しい。死にそうに苦しい、と感じた刹那、ぼくは自分がすでに死人であることを思い出す、でもやっぱり、ここが天国なのか地獄なのかわからない。

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