ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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天国と地獄

走り出す。だってこの曲が流れたら走るしかない。運動場は明るくトラックは小豆色と抹茶色、ぼくは走る。なんで走ってるんだろう。走らなきゃならないことはわかる。ぼくは前の選手を追い抜きトップに躍り出る。歓声が心地よい。こんなに楽しく気持ちいいことはあんまりないだろう、と思う間もなく背後の選手がぼくを抜く。追いつこうとがんばる、しかし離されてゆく。離されてゆく。苦しい。死にそうに苦しい、と感じた刹那、ぼくは自分がすでに死人であることを思い出す、でもやっぱり、ここが天国なのか地獄なのかわからない。

5/27/2024, 11:01:23 AM