1日1小説 そっと伝えたい。
僕には今、ひっそりと心に秘めたる思いがある。それはとても儚くて、せつなくて、いつか言葉にしてしまえば、消えてしまうんじゃないかとまで思ってしまう思い。
僕だけしか知らない、誰にも打ち明けたことの無い思い。
でも僕は心に決めていた。
今日、必ず、この思いを口にすると。
きっと口にすると今まで通りではいられない。今までのて欲しかったことは、全てなかったことになる。
それでも、今日伝えると決めたのは、今日が最後だから。
今日で最後だから。
何がとは言わないけれど、今日で最後だから。
だから思いを伝えると決めたのだ。
ただ、いざとなって勇気が出ない。
手が震える。
心臓が早鐘を打つ。
それでも僕は、僕は、
「あのね、僕、ずっと君のことが───……。」
結末は、読んでいるあなたの心の中に。
1日1小説 未来の記憶
「未来の記憶が見れる、知れるってなったら、いつの未来がみたい?」
そんなことを聞く君は、心無しかワクワクした顔をしていた。
未来かあ。
「いつのを見ようかなあ。」
考える振りをして、ぼーっと空を眺める。その間君は楽しそうに、もし見えるなら、知れるならってずっと楽しそうに話してる。
「きっと未来の僕はさ、そうだな、ディズニーに行けるのかなとか、あの大きなパフェ食べてるのかなとか、僕の隣には誰がいるのかなとか、君は笑顔なのかなとかさ、色々みたいなあ。」
君の未来は決まっている。夢見るだけタダだよな。笑顔でずっと、アレできるかなとか、こんなことしてるかなと語っているキミの超えがどんどん沈んでいくのがわかってハッとする。
「君の隣にいるのはさ、僕が良かったなあ。
10年後も、20年後も、」
泣きそうな顔でそういう君。君の、彼の未来は決まっていて、もう何十年も生きられない。生きられてせいぜい、あと一週間と余命宣告されていた。
「私の隣にいるのは、ずっとあなただよ。
私のとなりは、あなただけ。誰ももう来ないよ。」
それはまるで呪いの言葉。私たちの、呪いの言葉。