11/11/2025, 2:01:08 PM
「休憩にしようか」
そう言って彼は席を立つと、こじんまりとした給湯室に向かい
お湯を沸かし始める。
「そういえば、誰かが置いてったんだよね」
お湯を沸かす彼の脇の棚から焼き菓子を出すと
「なら、紅茶にしようか」
給湯室には似つかわしくない二脚のティーセットを取り出す彼に思わず苦笑を洩らす。
「2人だけだし、特別に」
手に持たれている“イイ茶葉”と彼の言葉に少しの照れを浮かばせてはにかんだ。
#ティーカップ
2/15/2025, 3:42:14 PM
纏わりついた鎖は僕をヘドロの底に沈めていく
薄れ行く意識の中で
最後に聴けるのはあなたの声でありますようにと願った
#君の声がする
12/15/2024, 12:59:19 PM
マフラーに顔を埋めて待っていれば
「遅れてごめん」と走り寄る姿
「遅い」
「ごめんって」
ジトリと睨めば眉を下げて笑うその人は
自然な流れで手を取って上着のポケットに。
「そろそろ降りそう」
「もう、すぐそこまで来ているよ」
明日の朝は真っ白な街になっているだろう
# 雪を待つ
10/29/2024, 3:02:06 PM
人目に付く所にあるはずなのに
私のものはみんなに見えていないみたい
何かもらえるだろうと期待して
期待するだけ無駄だと分かっているのに期待して
ああ。埋もれて何処かに消えてしまった
もう誰の目にも留まらない
9/4/2024, 1:17:33 PM
新しい靴を買った。一目惚れだった。
タグを切って上がり框に置いていたら
巫山戯たアイツに履かれてた。
その光景を見た瞬間、私の物では無くなった、
一目惚れの赤いチェック柄も
黒い靴紐も
何もかもに興味が失せた。
靴を無理矢理脱がせた私は
嫌味ったらしくゴミ箱に捨てた
アイツはただヘラヘラ笑っていた