もうそろそろ時間か…
帰らなければいけない
この楽しかった時間ともお別れ
君が少しさみしそうな様子を見せてくれたのが
なんだか嬉しい…
息をぐっと飲み込んで 振り返らないように
「行かないで」
そう聞こえた気がした…
そうして視界がぼんやりして
気がつくと1年後に帰っていた
家までの帰り道 ふと君の面影を見つける
夜10時半
いつもこのくらいの時間に勉強を終え
ただなんとなくスマホを見ている
さっさと寝る準備をしなければいけない
なんて思いながらスクロールし続けるこの時間が
鬱陶しい…
ふと、昼休みのことを思い出した
あの人が好きって言ってた曲って何だっけ?
L?A?…
そうだ、これだ!
静まりかえっていた部屋にリズムが流れ始めた
気持ちがどんどん晴れていく
もし、あの人も今、こんな時を過ごしていたら…
なんて、都合の良い話はないか…
でも、どう言えば良いのだろう?
…
そうだ!!
『ココロオドル』
門を出たあとまっすぐな道で君と目が合った
頭が真っ白になった
けど、その瞬間
君に駆け寄っていた
なぜだろう?
こんなにも帰り道が明るいのは…
電車のテールライトが遠ざかるのをずっと見ていた
帰ってからもずっと気持ちが高ぶっていた
こんなありふれた学校帰り
人は奇跡と呼んでくれるだろうか…
結局、数週間何もなかった
今日もまた
奇跡をもう一度
そう願いながら、門をくぐっている…
西日に照らされながら窓の外を見ると
隣に君が居てくれた日の事を思い出す
きっと周りの人からみたらどうでもいい
ちいさな出来事なのだろう…
でもそのちいさな出来事が
いつまでも頭から離れない
改札を抜けるとき
心がまた揺れ動く
あの日の眩しい笑顔に
きっと明日も揺れ動くんだろう…
そんな自信に近い何かが
今日も僕の中に居座っている
静寂に包まれた部屋
気まずい雰囲気だけが漂っている
今すぐここから逃げ出したいような
ずっととどまっていたいような…
君は今も足元を見つめている
何か話しかけようとしても言葉が見つからない
何もせず
時間が消えていく
時計の針が私を見つめてくる