過ぎ去った日々には、嬉しかったこと、楽しかったこと、逃げ出してしまったことや思い出したくないこと、あの子にしか見せなかった僕の泣き顔や、誰にも言えなかった悲しみ、そんなのが全部詰まっているんだ。
これから迎える日々たちは、僕に何を見せてくれるのだろう。何を与えて、何を奪って行くのだろう。
最期の最期に人は、人生の出来事を走馬灯のように思い出すという。
僕は、やっぱり、ありがとうで終わりたいと思う。
お内裏様とお雛様が並んで座り、いちごがたくさん乗っている、ひなまつりのケーキを前にして、ロウソクを立てて欲しいと言うあなた。
カラフルで細くて長いロウソクに灯した火を、満面の笑みで、何回も何回も、フゥーって言いながら吹いていました。
本当にね、大きくなったね。
3月2日
1年に1度だけ、あなたに逢いたいと思っても良い日と決めている。
思うだけで本当に逢いに行くわけでもなく、簡単に逢える人でもなく、ただ、この日だけは心を自由にしてあげたい。
妄想や欲望と生きている時の私は、嫌いな私じゃない。
やがて気付くだろう。ここには無い、ここでは手に入らない幸せがあるということに。
そしてその気付きは、君の心を無責任に高揚させて、じっとしていられない焦りを生み、その場所に行くための覚悟となってゆくだろう。
君より、ちょっとだけ早く遠くの街へ来た僕は、幸せを掴むための旅を始める。
ただその前に、君のことを忘れなければならない。
忘れてしまうことは怖くない。
君もこの街に来れば全部忘れるのだから。
そしてまた、出逢うのだから。
視力が悪い。
大人になってから、だんだん悪くなってね。眼鏡、何回も買い替えてる。
面倒で、不便よ。視力が良かった時には、見えることが当たり前だったから、眼鏡が無くても生活出来ることに感謝なんて出来なかった。
生きるということは、そんなことに気付く連続なんだと思う。
些細な苦痛も、我慢の限界だと思うようなことも、気付くための材料かもしれない。
そうやって、この世界は前に進み続けて来た。過ちも、喜びも、混ぜ込んで。