NoName

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5/26/2025, 7:31:19 AM

(やさしい雨音)
ふと目を覚ましたら、
しとしと、雨が降っている。
隣に眠る君の温い体温を、寝息を感じながら
もう一度寝なおそうと、
やわらかな腹の毛に顔を埋めた。

5/16/2025, 10:59:41 AM

(手放す勇気)
生涯、貴方に追いつきたくて、
手段も選ばず、何でもしました。してきました。
決定的に道を踏み外すとわかっていても、
どうしても、どうしても追いつきたくて。
道を踏み外し、道無き道を往く私を、
貴方に止められてしまいました、
いえ、 止めて下さった。
ほんとうは、貴方に、
そんな顔をして欲しかった訳じゃないのです。
最初は、そうでした。
それがどんどん変わっていって、
途方もない執着心に変わって、
貴方に追いつきたい一心で何もかも投げ捨てて、
おろかでした、ほんとうに。
だから、手放します本当に何もかも。
貴方への憧れも、羨望も、嫉妬も、 愛慕も。
執着してきたなにもかも。
でも貴方が、幸せである事だけは祈らせて、
頂けると嬉しいです。
さようなら。
                敬具

5/15/2025, 7:49:12 AM

(酸素)
人より何でもできてしまうものだから、
頼られる事が多かった。
別に苦ではなかった。
けれど、手助けするのが当たり前のようになってきて
動き回る事が多くなってきた。
それでも私には全てできてしまうのだけど。
当たり前と思うのと同じに、少し疲れる事もあって。
そんなおり、君と出会った。
他の人とは違って、何でも自分でやる君。
私ほどではないけど何でもこなす君。
きっと好奇心が旺盛なのだろうと思った。
気が合うかもしれない、と少し期待した。
その、きらきら眩しい君を見ながらそう思った。

…出会ってから数年、
私にとって君は酸素のようなものだった。
そう思っていた。
君がいないと生きていけないと思っていた。
…実際君がいなくなっても、私は生きていた。
心の底から悲しい、寂しいけれど、
叫びたくなるほど狂いそうだけれど、
私は君の分も生きていかなくてはならなかった。
……そう納得する自分の頭が嫌でたまらなかった。
君がいなくなった後、
こんな脳みそ酸素不足で死んで仕舞えばよかったのに

5/8/2025, 3:48:07 PM

(届かない……)

貴方を超えたかった、
生涯手が届くことはなかったけれど。
貴方から見た私は愚かだったでしょう、
貴方への羨望、妬み、怒り、醜かったでしょう。
貴方は呆れ果てていた事でしょう、
嗤っていましたものね。
…あァ、それでも、
最期、私はとても穏やかな心中だったのです。
手を伸ばした貴方の、その顔をみて。
貴方でもそんな顔をするのですね、
何故私に向けてなのかはわからないけれど。
そんな顔をする貴方は見た事がなかったから、
ざまァみろと嗤いたかったのだけれど。
声が、でなくて。口角を上げることしかできなくて。
貴方から見た私はどの様な顔をしていた事でしょう。
……醜くなければ、いいのだけれど。

5/8/2025, 3:26:29 AM

(木漏れ日)
麗らかな日差しがはいる窓際のソファに、
貴方の体温を隣に感じながら微睡むことの
なんと心地良いことか。

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