(酸素)
人より何でもできてしまうものだから、
頼られる事が多かった。
別に苦ではなかった。
けれど、手助けするのが当たり前のようになってきて
動き回る事が多くなってきた。
それでも私には全てできてしまうのだけど。
当たり前と思うのと同じに、少し疲れる事もあって。
そんなおり、君と出会った。
他の人とは違って、何でも自分でやる君。
私ほどではないけど何でもこなす君。
きっと好奇心が旺盛なのだろうと思った。
気が合うかもしれない、と少し期待した。
その、きらきら眩しい君を見ながらそう思った。
…出会ってから数年、
私にとって君は酸素のようなものだった。
そう思っていた。
君がいないと生きていけないと思っていた。
…実際君がいなくなっても、私は生きていた。
心の底から悲しい、寂しいけれど、
叫びたくなるほど狂いそうだけれど、
私は君の分も生きていかなくてはならなかった。
……そう納得する自分の頭が嫌でたまらなかった。
君がいなくなった後、
こんな脳みそ酸素不足で死んで仕舞えばよかったのに
5/15/2025, 7:49:12 AM