「形の無いもの」
耳の聞こえない彼女。愛はカタチじゃないという言葉を心に刻みつつも、
話す時は筆談で、結局愛の言葉を伝えても「文字」という「カタチ」になってしまう。
ただ、あの時文字という形で育んできた愛はカタチじゃ表しきれなかった愛だと信じたい。
「本気の恋」
本気の恋をしてみたい。
私は可愛いから男が寄ってくる。
ちょっとアピールすればあっちから告ってくる。
でもタイプじゃないから遊びで終わらせる。
1人だけ、ただ1人だけ私がどんだけアピールしても告ってこなかった男がいた。
なんか悔しくなって、そいつの友達にそいつのタイプ聞いたり、可愛くなる努力とかした。
友達から言われた一言。
「あんたやっと本気の恋したんだね」
ああ、そっか。
これが本気の恋か。
「開けないLINE」#22
お風呂上がりに通知が1件鳴った。
彼からのライン。内容をロック画面から見ると
「別れよう」の文字。
咄嗟に口から出たのは「何でなの…?」
私が長風呂なのも彼に可愛いって思われたいから。
私が料理本ばっか買うのも彼にご飯が上手だと思われたいから。こんなに彼のために努力してるのに「何でなの?」その思いから出た言葉。
彼は長時間既読がつかないと送信取り消しをする癖がある。
そのLINEを開いたら、関係が終わってしまうから。だからわたしはそのLINEを開けない。
「不完全の僕」
僕は不完全。
頭はいいけど運動はできない。
でも、あの子も不完全。運動はできるけど頭が悪い。
不完全同士で助け合って、完全体になれたらいいな、なんて。
「突然の君の訪問」#20 お久しぶりです…
突然の君の訪問。
数年前、幼なじみの君は頻繁に家に来ていた。
ゲームをしたり、お菓子を食べたり、もう君もまるで自分の家かのようにくつろいでいた。
正直、君のことが好きだった。
それが、ある日を境に突然来なくなった。家を訪ねても留守。……いや、居留守。
かなり辛かったが、数年経てば整理が着く。
インターホンがなったので出てみると、
君の家族がいた。
まさか、骨になって来るなんて。