風に身をまかせ
私は今日、2つの失恋をした。
今日は爽やかな天気だった。
下校中、貴方の隣を歩いていた。
「私、あの人と付き合う事になったの!」
貴方は満面の笑顔でそう言った。
「じゃあ私は二人のキューピッドだねw」
私は笑顔でそう言った。
私は貴方の言うあの人が好きだった。
あの人の隣を歩きたかった。
私は貴方が好きだった。
貴方の隣をずっと歩いていた。
その時間がずっと続いて欲しかった。
でも私はあの人の隣を歩けない。
貴方の隣も歩けない。
二人が幸せならそれで良かった。
二人共優しくて人気者だった。
正直私とは不釣り合いだった。
あの二人が隣にいることが私にとって幸せだった。
それなのに。
あの時、
「良かったね!応援してる。」なんて言えなかった私はきっと誰よりも性格が悪くて、欲張りなんだ。
貴方と話した後の帰り道は、私にとって、
世界一寂しい風が吹いていた。
子供のままで
私も子供の頃は優しい大人になりたいとか、かっこいい大人になりたいとか、大人に対する憧れが強かった。早く大人になりたいと強く思っていた。
無邪気に、健気に、無知なりに。
でも今は大人って何なのかもよく解らないし、自分の理想の大人像の姿と現実の自分のギャップが激しくて。子供の頃に戻りたいと強く思っている。
汚く、切実に、無力なりに。
成長の仕方も分からないけど、十年後も明日も五秒後の事も知らないけど、最近ふと感じた事がある。
無邪気に、切実に、無能なりに、子供の頃の心のままで明日を過ごし続けるのも一つの生き方として僕に合ってる気がすると、なんとなく、感じたんだ。
カラフル
「何色が好き?」
パレットに散りばめられた絵の具達が言う。
あの子は不安そうに、あの子は期待の眼差しを向けながら、またあの子はどうせ自分は選ばれないといった表情で。
私はこの部屋に飾られている沢山の作品を見回した。この部屋には絵画が沢山飾られている。
そして、今目の前にあるまだ未完成の作品を見た。
私はそのパレットに散りばめられた絵の具全員に向かって、いや私が魅た色全てに向けてこう言った。
「貴方が好き」
楽園
僕は気が付くと穏やかな風が流れ、沢山の花が咲いている楽園に来ていた。
そう、僕にとって此処は間違いなく楽園だった。此処には来たくないと思う人は沢山居る。いや、大体の人は来たくないと言う。
僕は少し歩き、そこにある川の向こうを見た。そこには今までお世話になった人や支え合ってきた仲間がいる。色んな種類の景色があり、永い歴史がそこには確かにあった。でももうこの川は渡れない。渡る必要がない。
だって此処は楽園なのだから。