かなで

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6/4/2024, 1:10:58 PM

狭い部屋 
 


私は昔から、こじんまりとした狭い空間というか狭い部屋が好きだ

秘密基地みたいで静かで落ち着くから 

ひとりで居るのは寂しくないの?と周りは尋ねるけれど 

ただ、ひとりで居られる時間も 私にとっては宝物  

自分らしく居られるから

誰にも 邪魔されない 

誰にも 迷惑かけない

そんな、テリトリー  

 

だけど 



その秘密基地が最近 さらに手狭になった
 

四方八方から ざわざわと流れ込んでくる   

聴きたい音 塞ぎたくなる音 

互いに混じり合って   

私の動きもぎこちない


侵入者が いつの間にか 入り込んでた

誰にも 教えていないのに 


 
いつの間に カギが開いたのだろう

いつからそこに存在していたのだろう


もう、日夜 私は溺れている

誰にも 止められない 私自身も

じきにここは埋め尽くされて 

 一気に溢れ出てしまう


 


私の心(狭い部屋)から あなたへの想いが



5/30/2024, 2:33:35 PM

終わりなき旅 


今の人生で 終わりなき旅は御免だ 


魂魄レベルでなら、どの時代に生まれ変わろうが 

それなりに楽しめるのではないだろうか

 
 一区切りずつの人生の記憶は、その都度リセット 
  
それがまた生を受けた場所で姿を変え、数珠繫ぎで紡いでいく 


そんな、「終わりなき旅」なら、 
 


気が楽だ 




前世の記憶がないから、 

それに雁字搦めになることも、惑わされることもないだろう

 


前の続きだと、自覚して生きてないだろうから  



 
 

5/29/2024, 11:39:36 AM

「ごめんね」 
 

 ▷「わたしも同じ気持ちだったの」
 ▶「ごめんね 気持ちは嬉しいけれど」
 
 
「ごめんね、っと……はぁ」
 
ときめき仕様の告白の画面が 
 
また同じ選択肢を選んでタップする
 
主人公の後ろ姿のイラストにグレーがかかって、哀愁を立た酔わせて、その後の進路を簡潔に表示させていた
 
 
脱力感が半端ない


……これで、何回目だろう 




どんなに頑張っても、セーブからやり直しても、

私のもとへ来るのは、何故か「目当てじゃないキャラ」 


また、メインキャラのひとりが来たー  

いや、メインキャラもいいんですよ!王道だし! 
でも、ピンとこなかったのよー、やっぱり、自分の好みがはっきりしちゃってるから、妥協出来ず、すまん!


私が狙ってるのは、隠しキャラの「◯◯先生」なんだよ  


剣道部顧問で熱血漢で声が大きくて大食漢で、 

これが惹かれずにいられますかっていう! 

ここまで来るのに、一度赤点を取りまくって、補講を受けるイベントを発生させて、あとはめっちゃ周りのメインキャラたちと波風を立てず、平等に扱い、爆弾処理に業務デートをし、ときめくイベントの発生を選択肢で防ぎ、数々の四季折々の青春を犠牲にして、地味に地味に「勉強」一色で必死でレベル上げして、イベントの最後に先生が出てくるように努力してきたのー!!


なんて、けなげなの 



なのに、なんで勝手に好感度上げてコッチ来ちゃうかな?!  

だぁー!また、やり直し!!  

私の貴重な時間を返せw
  
縁側でゴロンと庭に面して体勢を傾けると、

「何か、重要なイベントを見落としたんじゃないか?」  


さっきまで庭で剣道の素振りをしていた幼馴染が振り返って、塀から顔を覗かせて声を投げてきた 


「えぇー! 最後の文化祭では主役を演じたし、クリスマスイベも好感度低めキャラとプレゼント交換したよ?正月だって、別のキャラと……」 
 
思い返してはブツブツと答えると、

「発生させないといけないイベントは発生させたのか?」
  
 幼馴染は、いつもどおりに塀をひょいと乗り越えて庭に立っていた

「えー、うーん?多分……」 

「きっと、揃っていない筈だ。だから、狙っていたルートに入らず、他のヤツが来るんだろう」 


私は見慣れたエンドロールの画面を睨みながら溜息をついてゲーム機から手を離した 

「あー、もー!ゲームの世界でも恋って簡単じゃないのね……向いてないわ、私。」 
 
起き上がって三角座りになった
 

「いいのか?ここで諦めて……先生キャラが目当てだったんだろう?」 

「え……まぁ、そうだけど」  

ここで諦めたらアルバムが埋まらないけれど
  

「どういうところが良いんだ?言ってみろ」 


じっーと、幼馴染に顔を覗き込まれる 
 
なんか、圧感じるの、気の所為?
  
「え……ね、熱血漢で元気、なとこ?」
 

へんに緊張するじゃん、何、この空気!!  
顔に熱が集まっている気がしてきた
 
告白してるみたいじゃん!
  
 
「……ほぅ」
  

まさか、アンタにちょっと性格が似てるから必死でゲームで狙ってたというのは、いくらなんでもバレてない、よね? 
 

恥ずかしさから真下に顔を向けて真っ赤な顔を隠れてたら、途端に影が覆いかぶさってきた


顔を上げると、  

いつの間にか、真正面に拳ひとつ分まで距離を縮められ、
 

   

 

「落としてみろ」  




 


 
ごめんね、

     

先に落ちたのはこっちです 


 
 

 
「参りましたっ!!」

5/27/2024, 12:02:30 PM

天国と地獄 


私は、やすやすと「天国」には行けないだろう

善い行いばかりしてきたと胸を張って言えないから


でも、人道に対する「罪」は犯したことはない 

だから、今のところは「地獄」にも行けないだろう

辿り着くとしたら、
 
「天国と地獄」の間の「煉獄」という場所だろうか   

今までの行いを償いきるまで浄化の炎によって焼かれ苦しむ 

つまり、永遠ではないのだ 


 
死んでからのことは、誰にも知る手がかりはない 

本当に「天国」や「煉獄」や「地獄」があるのかも誰にも分からない

でも、逝くなら、今までの全てを浄化して、
リセットされて生まれ変われるのなら、その道がいい 

生まれ変わることがあるのか、そこもわからないけれど

5/26/2024, 12:19:21 PM

月に願いを  


今宵は更待月 

夜が深くなるのを 静かに待って  
 
蒼白く光輝く 待ち焦がれし月
 
ただ ただ  見上げて 君を思ふ  

  
暁月夜になるまで 願掛けのように    


無事を願っていたいのに   

帰ってくれるなら、一番に出迎えたいのに

 
この身体は言うことを聞いてはくれぬ  

 
眩しくて 眼を開けると 聴きたい声は耳には届かず  

今日も静寂の中で 一日がはじまる  


また 夜更けまでが 待ち遠しい






  
  

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