当時を思い返して書き連ねてみた。
病室
そこは、入院治療を必要とする人の生活の空間。
時に喜怒哀楽の感情が交差する。
時として、正論も残酷な刃となりうる。
尊厳とは。
人権とは。
多くは、みな人生の先輩方が大半だ。
中には、若い人もいる。幼い子もいる。
介助や処置や検査、検温をしながら、言葉を交わす。
「もう、帰るの?お疲れさま。また、明日ね。」
病室
そこは、感情が飛び交う戦場。
スタッフもひとりの人間。
時に悩み、怒り、傷つき、励まし合い、歩み寄り、寄り添う、そんな学びの場。
ベビーの産声がフロアの廊下に響き渡った。
私は、血ガスを片手に急ぎ足で分娩室を出ると、
ちょうどエレベーターを待っていた御遺族の娘さんがこちらに気づき、
「…赤ちゃんの声を聴きながら旅立ったから、母は寂しくはなかったはず。最期まで賑やかよね。」とふわりと泣き笑いしてゆっくりと頭を下げて降りて行った。
私は、同意を表す頷きと大きく頭を下げることしか出来なかった。
瞬く間に涙目になっているのに気づく。
「また今度、今のを編み終えたら見てちょうだいね。」
脳裏に昨日の姿が鮮明に蘇ったから。
上手く言葉はかけられなかった。
悔しかった。
情けなかった。
どんな顔を見せてしまっただろうか。
本心では、しっかりと最期まで見送りたかった。
出来ることなら、もう少し、言葉を交わしたかった。
私は階段を一気に駆け下りた。
階段を駆け下りるまでに、気持ちを切り替えなくては、と。
病室
そこは、命の尊さに触れる場所。
私は、一生この感情を忘れたくはない。
明日、もし晴れたら
久々に自分へのご褒美時間を設けよう。
平日なら、突然は休めないから、
定時を目標に仕事を終わらせて、
本屋を好きなだけブラブラして気に入った本を片っ端から購入して、
いつもは買わない惣菜とおつまみを買って、
本の世界へ。
寝るまで、何にも縛られない自分時間を堪能しよう。
いつも支配されているスマホを視界からなくして。。。
「 誰かのためになるならば 、」
その志は心から素晴らしく尊いと思う。
私は簡単にその言葉を堂々と外へ発せられない。
だから、見返りを求めずに行動を起こし、
文字通り「誰かのために」なしえた貴方の働きぶりに私は賞賛を贈る。
だけど、貴方は優越感にも浸ることなく、鼻にかけることも無く、使命だと言って、また現場に向かう。
弱音を履かず、当たり散らすことなく、休むことなく、逃げることなく、明日もまたその次の日も……。
決して、簡単な業務では無い。誰でも出来ることでもない。
時には重くのしかかる重責に耐えながら、でもそれを笑顔の仮面で巧妙に隠して周囲に悟られず対応し業務に徹する。
「誰かのためになるならば、」と貴方がその道を貫くと言うのなら、私は「貴方のためになるならば、」という道を突き進みましょう。
支えを必要とする人は、沢山居る。
弱き者を守るのは、強き者の使命だと言う。
なら、
私は、その強き者の支えとなれるように、尽力しましょう。
どんな人間にも、心の支えは必要なのです。
日夜頑張る貴方自身も「誰かのためになるならば」と思われる側のひとりの人間なのです。
貴方もそのひとりということを忘れることなきよう。
花咲いて
貴方の姿を見掛ける度に心が波打つ。
周囲に紛れていても、日の光を浴びたように一際目立つ。
貴方が発した言ノ葉は、私の中で新たな力となって芽ぶく。
貴方が見せてくれた生き様は、私を原点へとおくり返す。
そして、生きる力を思い出させてくれる。
今にも枯れそうだった私の心にまた蕾がついた。
貴方という存在に出逢えたから。
貴方のように、私の花もいずれは花咲いて。
太陽のような貴方の傍には咲けなくても。
ほんの片隅でいい、想っていてもいいですか。