私は“ごめんね”使いの名人だった
ごめんね
や
すみません
をよく使っていた
──彼に出会うまでは
彼は“ありがとう”使いの名人だった
私はそんな彼に惹かれたんだ
「資料の件、ありがとう」
「あ、はい……すみません」
そんな感じに私達の関係は始まった
ありがとうに押される日々は私をネガティブから救い出してくれた
いつしか私は“ごめんね”よりも“ありがとう”と言うようになっていた
世界も大きく代わっていた
言葉ひとつで
こんなに世界が変わるだなんて
今までの私には信じられなくて
彼には、ありがとう
昔の私には“ごめんね”
それから、さよなら……昔の私
(2023.05.29/「ごめんね」)
爽やかな春の風が過ぎ去って
じりじりと暑さが迫ってくる
少しずつ羽織が薄くなって
汗がベタつく……
──もうすぐ夏、か──
そんなに見つめないで?
ダイエットしてからって
決めてたのに……
そろそろ限界かもしれない
でも……
昨日はケーキで蓄えて
その前はドーナツで蓄えて……
その前も……振り返れば、ずっと蓄えてる……
じめじめとくっつく服……
そろそろ限界かもしれない
暑さは
私に“あせも”という
デキモノを作り始める
紫外線からも身を守りたいけど
あせも、が邪魔をする
あぁ……やっぱり、もう限界だ……
覚悟を決めて──
二の腕(あたし)、参上──!
今日から半袖!
あぁ、涼しくて爽やかになった──!
(2023.05.28/半袖)
天国と地獄は紙一重の世界だと思う
大切な人とずっと一緒にいられたら
幸せで天国と思う
でも
大切な人とずっといるからこそ
見てはいけない
触れてはいけない何かに
時に触れてしまうこともある
その時に地獄を見るかも知れない
逆に「大切な死」は
例えるなら地獄みたいに辛い
けど苦しいまま生きるのも地獄みたいに辛い
それは本人も三者にとっても
自分の経験では数ヶ月、数年で
「身内の死」ということに関して
“天国と地獄”
を味わった、そう思っている。
暗いのは嫌なので──
今のリアルな私の
天国と地獄
をフィーリングで。
好きな人に会ったり
好きな人に触れたり
好きな人に何かしら関わると
私に天国が訪れる
脳内世界はたちまち
光に包まれ──
世界の住人達に
幸福の雨が降る
争い事もなく
婚礼が続き
子供達の元気な声が響き渡る
もちろん私も
好きな人と何かしら関わって
幸せな気持ちで満ちている
嫌なことがあって
何もかもメチャクチャになればいい
何もかもメチャクチャにしてやる
そんなことを脳内で発散する
脳内世界はたちまち
闇に包まれ
黒い雨が降り
人々は闇にまみれ
無情にも人々は争いを始める
あとに残るのは
悲しみだけ……
これらを同時に起こすことも出来る
天国と地獄は
私の脳内世界に自由に存在するのだから──
(2023.05.27/天国と地獄)
僕、一人ではもう無理だ
休むまもなく
働くなんて
もう嫌だ
たまの休みは唐突だし
予定立てにくいったらありゃしない
長期休みもあるけど
急に呼び戻されるし
まあ、たくさん休んだあとは
気合い入れてるけど
入れすぎて倒れる人もいるくらい
寒い時には期待されてるしね
だからね?
せめて夜くらいは休ませてください
お願いします──
「いいとも! 夜は私が代わりましょう」
──そんな太陽と月の話があっても、いいよね?
(2023.05.26/月に願いを)
心の雨は
大切な人に
何か影が覆い被さってから
聞こえ始める
胸騒ぎと重なっては消え
息を潜めながら
雨を降らすんだ……
空は晴れてるのに
心の空は泣いていて
聞こえるはずの無い音だけが
響いてる……
小降りから
本降り
本降りから
大雨……嵐に
周りも見えない雨の闇
数日後──
見上げた空の雨は止んでも
心の雨はいつまでも
降り止まず
でもいいの……
それは私が
あなたを思って流す涙
心の奥でいつまでも
晴れても止まないのは
忘れたくはないから
嫌だった雨も
あなたを思って降るなら
悪くない
いつしかそう思えるように──
(2023.05.25/いつまでも降り止まない、雨)