9/26/2024, 11:33:48 AM
金木犀の香をつれて
過去がその影をちらつかせる
金木犀の香をまぜて
苦い想いがよみがえる
秋風よ わたくしのために吹け
ふかい悲しみを消すように
ーーーされど
その経験こそが
今のわたくしを
いちから作り上げたのだ
ーーーだから
金木犀の香をつれた 苦さよ
金木犀の香をまぜた幼き過去よ
そろそろ さようなら
9/26/2024, 12:40:35 AM
窓をあけ
首だけ外にだしました
外は黒く
小雨もふっています
首をひっこめ
黒の断片に手をのばし
小雨をつかもうとしました
その冷たさを手のひらに取り
ぼくはひとこともしゃべれずに
景色をさがすのです
黒が問いかけてきます
コレガ ノゾミダッタンダロ?
それはちがいます
コレガ セカイノスベテダロ?
そんなのはいやです
ジャア ドウシタイノサ?
それならば 多くをのぞみはしないので
だからどうかお願いします
もうすこし ぼくの景色に色をください
9/24/2024, 10:11:29 PM
目で見える言葉をもとめて
その形をさぐるけど
解釈が無限にひろがるせいで
かえって形がわからない
誰かがさけぶ
『言葉の源泉は無意識のうみにこそあり!』
誰かがこたえる
『そのうみにあまたの我あり!』
それぞれのうみに
あまたの自分を見つけ
それぞれの言葉をかりて
あまたの物語をいきる
その物語がおわるとき
うみへと溶けて
言葉は形をくずし還ってゆくのだろう
それはこの身にもおこり
わたしの言葉を
わたしの物語を
ほかの誰かがつかむ前に
それらは形をなくすのだ
9/23/2024, 12:58:23 PM
銀杏の木と同化したジャングルジム
太い幹にのまれた鉄は錆色
てっぺんに腰かけて
ぷらぷら揺れる足を見つめる
夕方のチャイムは少し前に鳴った
なのに僕はここから降りられない
まだ帰れない
もう帰りたい
揺れる心と足は翳りをみせて
いっそのこと銀杏の木よ
僕ごとのみ込んでしまえ
そうすれば悩みごと消えてしまえるから