鍵のかかった 贈り物
その鍵を信用の置ける君に託したまま
贈り物は 別の誰かに渡してしまった
中身は私の心 大切な心だったのに
あの頃の過ちが 今になって胸に刺さる
時が経つにつれ 私の心は変わり
昔とは 違う存在となった
そして今 また贈り物を
誰かに渡そうとしている
同じ過ちを犯そうとしているの?
それとも 正しい道なの?
どちらでもいいから 今度こそ
自分の手で最後まで大切に贈りたい
奥歯を強く噛み締めたせいで
頭が痛い
心に余裕がなくなると
噛み締める癖がある
だから たびたび
頭が痛くなる
それは心のSOS 深呼吸しなよ、って
誰かが教えてくれてから
頭が痛くなったときは
必ず深呼吸をするようになった
あなたとの糸 今にも千切れそう
時を重ねた糸 繋ぐ絆も今ではもう
純粋な「好き」だったはずなのに
ただの執着なのかもしれなくて
あなたの生にしがみつく自分に気づく
時を紡いで糸を巻いて ただ繋ぐだけ
ほつれた箇所 結び直して ただそれだけ
それだけのことなのに
手繰り寄せて結ぼうとしても
ほどけてしまうの 何度やっても何度やっても
それでも わたしは諦めたくない
とどまり続けていた風が
重い腰をあげ 今ようやく吹く
身体に纏うその風は
決して古くは感じさせなかった
ただタイミングを見計らい
明日へと力強く 押し出すときを
まだかまだかと 待っていたのだ
だから何も心配することはない
吹き抜けていくままに身を任せればいい
さあ行こう もうすぐだ
自分の中の陰りをさがして
そっと暖かな ランタンを
かざしてみた
それは記憶の中の どんな温もりより
優しくて どこまでも 柔らかく
包み込んでくれる 光だった
見つけられないと思った 心の奥底の傷さえも
ランタンは静かに照らし
痛む場所はここだと そっと教えてくれた
記憶のランタンと 記憶に残る嫌な跡
ふたつが混ざり合う 不思議な夜
痛みと温もりが 同時に満ちていく