ないものねだり
ベランダで煙草を吸った日。後ろから抱きしめられた日。
そのまま2人でただれた日。
ベタな恋愛映画を見た日。隣に座る君が泣いていた日。
そのままキスをした日。
観覧車に乗った日。いつもの顔で愛を伝えてくれた日。
私もだよ、と伝えた日。
ステージの上で踊った日。観客席に君を見つけた日。
少しだけ目を細めた日。
端っこの席に座った日。君に話しかけた日。
きれいな瞳をしていると気づいた日。
端っこの席に座った日。大きなあくびをした君を見た日。
ほんの少しだけ笑ってしまった日。
もう絶対に戻れない日。
あなたの泣き顔を見た、日
特別な存在
部活終わりコンビニに行く。それ自体はなにも特別なことはないが、いつもはいない君がいた。
君はいつもあの男と帰るからいないと思ってたのに。
くだんない話をして、恋バナで頬を赤らめる君を見て
好きだと、思った。
偶然2人きりで帰ることがあって。君があの男のことが好きではないと知った。てっきり相思相愛だから一緒にいるものだと思っていた。
空が静寂を表すような日に、駅で告白した。
君はわたしは人のこと好きになれないと思うと言った上で、それでもいいならとしばらく悩んだあとつぶやいた。
その日の夜は、久しぶりに泣かなかった。
それから君は確実に距離を作った。LINEに返信するのは2日後、部活中も目を合わせず、あの男と一緒に帰っていた。
君と僕はほどなくして別れた。
別れてからの君は清々しい顔をしていた。僕の目の下のくまとは対象的で、君の顔を見たくなかった。
突然君は部活を辞めた。
辞めたがってたのは知っていたからあまりショックは受けなかった。あの男と、同じ楽器の先輩だけが泣いていた。
それから君はたまに連絡をしてくるようになった。付き合っていたときの対応とは真逆だった。でもまだ君が僕のことを覚えていてくれているのが嬉しくて、連絡を続けた。
君はまだ僕の特別だ。
泣かないよ
じゃあ写真撮るよー
はいはいこっち向いてー
あーもう香織ちゃん泣かないの、こっち見てー
撮るよーはい、チーズ!
『桜が咲かない卒業式に
目を赤くした君に
大丈夫だよを言ってあげたい』
あっここにいたんだ、渡したいものって?
香織に似合うと思って、はい卒業おめでとう
えっなになに、開けてもいい?
もちろん
わっ!ネックレスだ!光ってるみたい、ありがとう!
君の手の中で青く輝く光は君が泣きたい時に一緒に泣いてくれるかなと思ったんだ、なんてキザなこと言えないけど
遠くに行くことは最後まで内緒にした
『梅が咲いた卒業式に
赤いネックレスを握った私に
大丈夫だよを言ってあげたい』
怖がり
「前だけ向いてれば怖くないよ、大丈夫だよ
あぁもう下見ちゃだめ、ほらきれーな青空だね
大丈夫、だいじょーぶだからね
前だけ向いてて、ね」
後ろに、下に、上に、何があったのだろう。
何がいたのだろう。
きっと知らなくていい事だ、
前だけ、前だけ、まえだけ、まえだけ、まえだけ、まえ、だけ、まえだ
け
おねーちゃん
ずっとこのまま
遠い席に座る君を見てるとき
一緒の電車で見つけたとき
思ったより声が低いなと思ったとき
君の笑顔が見れたとき
バレーに一生懸命な君を見たとき
昼ご飯食べてる時ふと見えた、口を大きく開けて笑う顔をみたとき
怒られたあとしゅんとしてる君を見たとき
雨の日ぎこちない笑顔を見せる君を見たとき
君の、とびっきりの笑顔を見たとき