三日月
せっかく月が綺麗と言うなら満月がいい
約1ヶ月に1回だけだし
三日月だと上弦と下弦で2回見れるから
そのたびに思い出して、目が悪いから目を細めて夜空を睨んで、これは三日月なのかな?とか考えないとだから
満月はなんとなくわかるけどね
雪
雨の中わざわざありがとね、送ってくれて
いえいえ、今夜中には雪になるそうですよ
えっ雪?積もるのかな
さすがに積もらないでしょうけど、明日曇りなんで溶けないかもしれないですね
足元には気をつけなきゃね滑らないでよ?
去年滑ったのでもう懲り懲りですよそれじゃあ暖かくしてくださいね
うん、ありがとう
おやすみなさい
なんてことない会話のはずなのに、どこか表面だけ凍った湖のような危なさが含まれている。
さらりと撫でる分にはなにも起きないが、少し強く触ってしまったら、パリッと音を立てて二度と戻らないような。
例えば死生観だったり、嫌いな人だったり。
家のことだったり。家族のことだったり。なんで、一人で暮らしているのかとか。
聞けないまま
君と一緒に
海、遊園地、映画館、イルミネーション
動物園、ロープウェイ、水族館、バトミントン
ミニシアター、県外
お互いの、家
一緒じゃなきゃ楽しくなかったよ
けど隣にいるのはあなたじゃなくてよかった
誰かと一緒じゃなきゃ楽しくないみたい
だけど、隣が君だともっと楽しかったよ
誰かの笑っている顔よりも、君の笑っている顔が見たいと思ってた
隣で一緒にいるのが誇りで、嬉しくて、なにより楽しかったよ
また歩幅を合わせて歩けたらすてきだね
失われた響き
会いたいなら会いに来てよ
好きなんだけど周りの目が、とか
会いたいけど時間が、とか
好きだからこそ、とか
会いたいなら会いに来てよ
でも私からは会いに行ってあげない
あなたから名前を呼んでくれるのを待っていたいから
待っているのが好きだから
だから、会いたいなら会いに来てよ
私はずっと待ってるから
もうあなたが私に興味が無いとしても
心の深呼吸
…も、もしもし
ふふっもしもしって一昔前のやつじゃない?
えっあっそっか…
もう夜遅いのに電話してくれてありがとね
えっいやそんな、こちらこそ嬉しい、です
そんなかしこまんなくていいんだよ、今ベッドの上?
あっ窓開けてそこ座ってます
危なくない?落ちないでよね〜
いや、大丈夫ですお気遣いありがとうございます
いちいち大げさだなぁ、風邪ひかないでね
あっはい、気をつけます
昼間の喧騒を忘れるような静かな夜に、わたしの声が落ちていく。あなたと電話出来る日がくるなんて思ってもみなかった。あなたでも夜更かしとかするんだなとか、明日の予定は大丈夫なのかなとか、考えてしまう。そんな心配が相手に届いてしまわないように、慎重に言葉を選ぶ。
ただ、そんな夜だった。