11/26/2024, 5:58:26 AM
流れに逆らい藻掻く翡翠は、魔女に訴えるように鳴いた。自然の摂理に干渉することを嫌う彼女だったが、見殺しには出来なかった。冷えた身体を温め、折れた羽を何日もかけて治す。荒れ果てた住処に帰すわけにもいかず、契約を持ちかけた。
そういうわけで、翡翠は義務と権利、終の棲家を手に入れた。
『空を泳ぐ蒼炎』
太陽の下で
(#騎士と魔女)
11/24/2024, 6:38:01 AM
色付く紅葉に微かな秋を感じた。
刎ねた首は真紅の中に埋もれる。
君の声が眠りに誘い落とす。
『落ちの三重奏』
落ちていく
11/22/2024, 1:05:29 PM
お嬢さん、ビートルズの楽曲『When I'm 64』は聴いたことありますか?……そうでしたか。
今日は良い夫婦の日だと聞きまして。ふふ、楽しく温かな老後を夢見るのも悪くないでしょう?
おっと、お話をしていたら曲の終わりに近付いてきましたね。
さて……この手紙の返事、どうしますか?
『貴方はその手を取った』
夫婦
11/16/2024, 11:58:45 AM
お父さん、お母さん
ごめんなさい。私はもう帰れないの。
幸せになるから、どうか、どうか、
はなればなれ
『あるはずの未来は』
※お題「子猫」の作品を読むと理解できるかもしれません。
11/15/2024, 11:43:32 AM
「子猫一匹いなくなったくらいで誰も騒がないのさ」
子猫
『新聞の片隅にすら』